Shiras Civics

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「人生をどう生きるか」がテーマのブログです。自分を実験台にして、哲学や心理学とかを使って人生戦略をひたすら考えている教師が書いています。ちなみに政経と倫理を教えてます。

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公民の先生だからできること~わかりやすさと自分ごと化~

 

先の参議院選挙が終わった後、ニュースを見ていて結構多いなあと感じた意見があります。

 

そもそも政治ってよくわからないし、投票がどういう意味があるのかわからないという声です。

 

これを文字通り受け取ってはいけないと思います。

つまり、政治制度だとか、投票の機能とか、複雑な社会制度全般を理解できないという、学校教育で習う公民科の知識の全体的な欠如がうかがえるのです。

 

 

社会制度の複雑さ

 

人間は物事を単純化して理解します。

たとえば、知識を分類したり、二項対立的にとらえたり、ストーリーとして捉えたりと、様々な理解の仕方がありますが、その過程で必ず抜け落ちてしまう知識や見方があります。それは仕方のないものですし、加筆・修正して知識をアップデートしていけば、より多角的な視点から物事を捉えられるようになるので時間や努力量の問題だともいえます。

最初は極度に単純化して、そして徐々に複雑なものとして捉えることができるようになる。

 

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けれども、それは理解しようという意思を持ち、理解できる能力をもち、理解できる環境にアクセスできる者に限られます。

あらゆる人がこのような状況にあるとは必ずしも言えません。相関関係でしかありませんが、参議院選挙の投票率が50%を下回り、18・19歳の投票率が31%であったことを踏まえると、投票しなかった方の中には、わからなさゆえに棄権した方もいたのかと思えます。消費税の意味だとか、憲法改正の意味だとか、よくわからないのも当然かと思いますが。

 

ですが、もしわからなさのために棄権したのであれば、そしてわかりたいけど複雑で理解ができない苦悩を抱えているのならば、私は助けてあげたいなあと思う。というのも学校教育にも責任の一端があるのだと思うからです。

 

複雑にすることで誰が得をするのか

 

公民科をして政治・経済・倫理と幅広く教材研究をしていますが、専門としてやっていても膨大な範囲を扱っているなあと感じます。

たとえば税制度。直接税・間接税の違いはもちろん、社会人になると控除だとかふるさと納税だとか税金について本格的に勉強するようになります。で、勉強すると結構税金は取られ損になっていることが多いことがわかるわけです。サラリーマンの捕捉率はほぼ100%といいますが、それでも確定申告をすれば戻ってくる場合も多い。大学生だって派遣のアルバイトをしていれば、ほぼ確実に多く取られている。つまり、多くの人々は税金の取られ損の可能性がある。国家は本来的に徴収すべき税金よりも多くの税金を取っているわけです。けれども、社会制度は基本的に行動しないものには恩恵を与えない。裁判しかり、請求しかり、投資しかり、そして投票もです。

 

巨大な社会制度という枠組みの中で投票という手段の社会的機能がしっかりと理解されていない。だから、自分は何のために投票行動をしているのかがそもそもわからない、というわけです。知らないから動きようがないのです。

 

だからこそ、しっかりと社会制度を学ぶ機会と、それをどう活用していくかを訓練する機会を保障することが主権者の育成にとって極めて大事だと思います。

ちなみに、ここでいう主権者は社会制度の意味を理解し、その上で自分の意見をもって投票できる人というふうに意味を狭めています。

主権者が増えることは、自分たちの社会づくりに参加する人が増えることを意味します。それは幅広い人々の利益が社会づくりの際に考慮されることを意味します。ですから、参加者が増えて意見が反映されれば、それは最大公約数的により多くの人が暮らしやすい社会の実現につながるのです。

 

しかし、現状は参加する者も少なく、かつ参加を妨げる一つの要因として複雑な社会制度の理解の困難さがあげられるのです。これをどうにかして改善したい。知らず知らずのうちに自分たちの幸せな生活が侵食されてしまうから。なぜなら内に秘められた意見は、意見として世間は認識してくれないから。投票だとか形として出さなきゃ考慮なんかはされないんです。

 

わかりやすく、考えてもらって

 

わかりにくさの解消は非常に大事です。それは主権者を育てる公的な教育インフラだから。

その点で次の動画はとてもいいなあと思いました。

 


【政治】憲法改正問題を中田がわかりやすく解説!〜基礎知識編〜①


【政治】憲法改正問題(第9条)の本質に中田が切り込む!〜核心編〜②

 

今の時代、探せばいろんなコンテンツが出てきます。

こういうコンテンツが普及して、生徒が公民科に興味を持ってもらえたらなあと思いますし、同時に自分のコンテンツの魅力も高めていく必要があるなあと思います。

 

教員ですから影響を与えられる範囲はとても狭いです。

けれども、まずは目の前の生徒たちが社会制度を理解して、それをうまく自分のために活用できるよう、わかりやすく丁寧に、そして面白く教えたい。そうして、それらを活用する機会を提供できるような授業を展開していきたいなあと思います。

それが公民の先生にこそできることだと思うから。

 

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お盆休み中の成果

 

お盆休みが終わってしまいました。

 

民間企業に勤めている方と飲むと「こっちは休みなんかないぞ!」と叱責されますが、休んだからには何がしかの成果がないと気が済みません。

 

振り返りがてら、ちょっとまとめてみたいと思います。

 

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読書

①今求められる学力と学びとは

これ、めちゃくちゃおすすめです。メリトクラシー論が新学習指導要領の背後にある議論ですが、どうしてそのような流れになったのかが社会像・人間像を踏まえて述べられているので、非常に参考になります。

 

これを読んだら『暴走する能力主義』も併せて読みたいですね。

 

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編/マクロ編

スタンフォードシリーズを読みました。例えが豊富で分かりやすいですが、内容が浅いことと、いかんせんアメリカの教科書なので、日本の事例を述べている本にもアクセスしないといけませんね。 

経済学が苦手なので、ミクロ・マクロと一通り読みました。でも、数式を全く使わないので、数式やグラフを詳しく説明している本にも当たらねばと思います。

マンキュー、スティグリッツあたりの教科書かな~

(個人的には公務員試験用のテキストもわかりやすいと思うけども、要点だけの記述なので勉強が続く気がしない。)

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編

 
スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編

 

 

③勇気ってなんだろう

 

本屋で立ち読みをしていて、ビビっときました。

衝動的に買いましたが、特に愛媛県警の裏金作りを告発した仙波敏郎さんの章が面白かった。この本に通底しているのは、組織や周囲に反して声を上げる勇気を持った人たちを称賛しているところです。

アイヒマンにならないためにも一読の価値ありですね。

 

勇気ってなんだろう (岩波ジュニア新書)

勇気ってなんだろう (岩波ジュニア新書)

 

 

④きけわだつみのこえ

 

8月15日に読み返しました。

何かと右・左であることにレッテル貼りをする世の中になりましたが、立場を越えて当時の若者が何を考えたのか思いをはせるのも大事だなあと思いました。

私よりもいくつも若い人たちが、ここまでしっかりとした筆致で、ここまでしっかりとした考えを、ここまで落ち着いた精神状態で、特攻前夜に書けるのかと驚愕したものです。

折に触れては気付きを得る書物です。

 

きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫)

きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫)

 

 

田中角栄 頂点をきわめた男の物語 オヤジとわたし

 

政治史をやっていたら避けては通れない人物でしょう。

一級の人物の人生は非常に勉強になります。

 

 

 

教材研究

 

2020年受験用 全国大学入試問題正解 17 政治・経済

2020年受験用 全国大学入試問題正解 17 政治・経済

 

 

過去問をいくつか解いていました。

けれども苦手分野がはっきりとわかってきました。やっぱり教員として知識面は絶対に外せないところ。むしろ深い知識は良い授業を生み出す基盤だと確信しています。

 

経済系・社会保障系・企業論系の読書をたくさんしたいですが、言うは易し行うは難しですね。。

 

論文

あとは様々な論文にアクセスしました。やっぱりまとまった時間があるとメモも取りやすし、一気に読めるから流れもクリアに残っている。

 

おかげで何となく次期学習指導要領の流れが把握できてきたところですが、日常の授業実践にまで落とし込めていません。

できれば2学期からちゃんとしたカリキュラム(目標・内容・方法)を簡単でもいいから作りたいなあと思いました。

 

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仕事が始まる

 

振り返ると夏最初に掲げた読みたい本がどれだけ読めているか。

 

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殆ど読めてませんね。こういうことを確認出来る意味でもブログの効用を感じています。

 

さて、夏休みは色々と仕事を片付ける毎日です。

2学期からの授業に備えてプリントはほぼほぼ作りましたが、パワポと説明とワークとができてません。つまり、ほぼできてません。

 

あと半月ですが、持てる限り頑張っていきたいですね。

それでは良い夏休みを。 

74年前の大学生は何を考えていたのか~特攻隊の手記から思うこと~

 

※主張激しめです。

 

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トランプ大統領が、特攻隊は酒に酔って、薬をやっていたのか?と安倍首相に尋ねました。

 

彼らの名誉のために、実際の特攻隊に選ばれた若者の手記を引用します。少し長いですが、ご容赦ください。

 

上原良司(うえはらりょうじ)

1922年(大正11年)9月27日生。長野県出身

慶應義塾大学予科を経て、1943年(昭和18年)経済学部入学

1943年12月1日、松本歩兵第50連隊に入隊

1945年5月11日、陸軍特別攻撃隊員として、沖縄嘉手納沖の米機動部隊に突入戦死

陸軍大尉。22歳

 

所感

 栄光ある祖国日本の代表的攻撃隊ともいうべき陸軍特別攻撃隊*1に選ばれ、身の光栄これに過ぐるものなきを痛感致しております。

 思えば長き学生時代を通じて得た、信念とも申すべき理論万能の道理から考えた場合、これはあるいは、自由主義者といわれるかも知れませんが、自由の勝利は明白な事だと思います。人間の本性たる自由を滅す事は絶対に出来なく、例えそれが抑えられているごとく見えても、底においては常に闘いつつ最後には必ず勝つという事は、彼のイタリヤのクローチェ(イタリアの哲学者)も言っているごとく真理であると思います。権力主義全体主義の国家は一時的に隆盛であろうとも、必ずや最後には敗れる事は明白な事実です。我々はその真理を、今次世界大戦の枢軸国家(日本・ドイツ・イタリア三国同盟の諸国)において見る事が出来ると思います。ファシズムのイタリヤはいかん、ナチズムのドイツまた、既に敗れ、今や権力主義国家は、土台石の壊れた建築物のごとく、次から次へと滅亡しつつあります。真理の普遍さは今、現実によって証明されつつ、過去において歴史が示したごとく、未来永久に自由の偉大さを証明していくと思われます。自己の信念の正しかった事、この事はあるいは祖国にとって恐るべき事であるかもしれませんが吾人にとっては嬉しい限りです。現在のいかなる闘争もその根底をなすものは必ず思想なりと思う次第です。既に思想によって、その闘争の結果を明白に見る事が出来ると信じます。

 愛する祖国日本をして、かつての大英帝国のごとき大帝国たらしめんとする私の野望は遂に空しくなりました。真に日本を愛する者をして立たしめたなら、日本は現在のごとき状態にはあるいは追い込まれなかったと思います。世界どこにおいても肩で風を切って歩く日本人、これが私の夢見た理想でした。

 空の特攻隊のパイロットは一器械に過ぎぬと一友人が言った事は確かです。操縦桿(そうじゅうかん)を採る器械、人格もなく感情もなく、もちろん理性もなく、ただ敵の航空母艦に向かって吸いつく磁石の中の鉄の一分子に過ぎぬのです。理性をもって考えたなら実に考えられぬ事で、強いて考うれば、彼らが言うごとき自殺者とでも言いましょうか。精神の国、日本においてのみ見られる事だと思います。一器械である吾人は何も言う権利もありませんが、ただ願わくば愛する日本を偉大ならしめられん事を、国民の方々にお願いするのみです。

 こんな精神状態で征ったなら、もちろん死んでも何にもならないかも知れません。故に最初に述べたごとく、特別攻撃隊に選ばれたことを光栄に思っている次第です。

 飛行機に乗れば器械に過ぎぬのですけれど、いったん下りればやはり人間ですから、そこには感情もあり、熱情も動きます。愛する恋人に死なれた時、自分も一緒に精神的には死んでおりました。天国に待ちある人、天国において彼女と会えると思うと、死は天国に行く途中でしかありませんから何でもありません。明日は出撃です。過激にわたり、もちろん発表すべき事ではありませんでしたが、偽らぬ心境は以上述べたごとくです。何も系統だてず思ったままを雑然と並べた事を許して下さい。明日は自由主義者が一人この世から去って行きます。彼の後姿は寂しいですが、心中満足で一杯です。

 言いたい事を言いたいだけ言いました。無礼を御許し下さい。ではこの辺で。

出撃の前夜記す

 

 

これは特攻に出撃する前夜に、ある青年が自らの思いを綴ったものです。

酒でやけくそになっているでしょうか。薬をキメて頭がおかしくなっているでしょうか。

私には祖国の行く末と自らの人生を総括し、軍国主義の不条理と自由主義の勝利とに葛藤しつつも、冷静に人生にけりをつけた、一人の人間がいたようにしか思えません。

 

学生たちが戦争と直面してどう感じたのか、『きけわだつみのこえ』という本に収録されています。

自由を抑圧する軍国主義は話になりません。戦争自体を美化するつもりは一ミリもありませんが、それに臨んだ人間の尊厳までを踏みつける事には同意しません。

かつて祖国を憂い、空気という不条理に飲まれつつも、その命を燃やしていった多くの若者がいたことは多くの方に知ってほしいと思います。

 

*1:特攻・特別攻撃隊・特別兵器…航空兵力の不足したアジア太平洋戦争末期に、敗勢挽回のために取った無謀な戦法。最大限の爆薬をかかえた飛行機が敵艦船に体当たりを図った

8月15日にオススメすすめしたいコンテンツ

 

Sunrise @ Bàu Trắng, Phan Thiết


今日は8月15日。

あいにくの雨模様ですが、九段下の方は賑やかなのでしょう。

 

さて、今日は右も左もニュートラルの方もあの戦争について考えてほしい日です。

せっかくなのでお勧めしたいコンテンツを列挙したいと思います。

 

 

マンガ

小林よしのり

 

賛否両論ある方ですが、執筆の際に参考とされている文献は膨大な量です。

主張が偏ってはいますが、それを含めてでもおすすめの本です。

特に天皇論、東京裁判に関してはこの機会に知ってほしいなと思います。

 

ゴーマニズム宣言SPECIAL 昭和天皇論

ゴーマニズム宣言SPECIAL 昭和天皇論

 
ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論

ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論

 
ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論

 

 

日本の政治制度は特殊です。

天皇という一人の人間が一億人の最上位に立つ、というのは想像もできない苦労があります。

その苦悩や周囲の反応を、小林よしのりがパッション交えて語ります。

 

それから、パール判事という方をご存知でしょうか。

東京裁判は連合国による日本の戦争責任者を裁く法定でした。その中で唯一全員無罪を主張したのがインドのパール判事でした。もちろん、これは法の不遡及など法学に照らした解釈によるものです。

私個人としては、連合国による占領統治のおかげで人権やら民主主義やらが戦後統治の基本的観念となって、その点は非常に良かったと思うのですが、東京裁判に関しては法の運用面など法学的にはおかしいし、ほとんど連合国の私怨で開廷されたと思っています。もちろん政策遂行者が責任を取る場面は必要だと思うのですが、今でもいろいろな思いが錯綜して整理がついていないところです。

 

とにもかくにも小林よしのりは右系の方ですが、一読の価値ありと思いますので、ぜひぜひどうぞ。

 

かわぐちかいじ

 

Spitfire formation - 2014 Flying Legends

最近、空母いぶきが映画化されました。

かわぐちかいじと言えば、自衛隊や軍隊などを題材とした作品を数多く書いている漫画家です。

彼の作品の中でも、私が高校生の時にドはまりしたジパングをすすめます。

 

 

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それから戦後日本の軍事や国家の在り方について考えさせられるマンガとして、『太陽の黙示録』と『沈黙の艦隊』を上げておきたいと思います。

太陽の黙示録は日本が南北に分断され、それぞれ米中の支援を受けたことで国家の在り方が大局になった未来の日本が描かれています。

一方、沈黙の艦隊はある海自の将校が原子力潜水艦を乗っ取って、独立国を宣言し、各国を翻弄するという話です。専守防衛に縛られる日本の自衛隊の姿がまざまざと垣間見えるマンガです。

 

沈黙の艦隊(1) (モーニングコミックス)

沈黙の艦隊(1) (モーニングコミックス)

 

 

映画

 この世界の片隅に

 

この世界の片隅に

この世界の片隅に

 

 

第一次世界大戦を機に戦争の形態が総力戦に変わりました。

総力戦では、まず末端の市井に影響が出ます。この映画は市民がどう感じ、どういう人生を歩んだのか、そして戦争にどう左右されたのかを描いた映画です。

愛や悲しみ、そして苦しみ。それらを表現するのん(能年玲奈)の演技も素晴らしかった。

アマゾンプライムで見れますのでぜひぜひ。

 

こうして見返すと、なんだか偏ってるような気もしなくもないですね笑

 

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ブログを書き続けたら成長できたという話

 

このブログも設立してから4年以上が経ちました。

設立当初は記事を書こうにも、一ミリも筆が進まず、逃避しまくってました。修論の執筆と被ってたと言い訳しときます。

けれども、最近、記事を書き進めていくうちに自分の言葉で思いを紡げるようになったなあと実感しています。

 

ブログを書き続ける効用は、記事のストックがたまって、それを見比べれば自分の価値観の変化がわかることです。

人の価値観は変わります。根本的な部分では変わらないかもしれませんが、加筆修正を加えながらアップデートしていくものです。

日記をつける習慣があればいいんですが、紛失したり、持ち運べなくていつでも確認できるものではないです。その点、ブログは巨大な備忘録としての機能もあります。

 

その時の自分がどういう思いを持ったのか、どういうふうに現象を捉えたのか、ブログって、そんなふうに自分の見方を相対化してくれるものだと思います。

 

ここでやっちゃえ先生のツイートを拝借。

 

 

物事をパーツに分解して細かく見る「要素分解」という考え方があります。

たとえば、考えるという営みを要素に分解すれば、「比較する」とか「仮説を立てる」とか様々なパーツに分解できるかと思います。

 

こうやって細かく分析するには言葉や概念を知らなければなりませんし、そのためには勉強しなければなりません。勉強の先に到達できる世界があるのです。

そして、知らない言葉で世界は表現できません。その意味でブログはその時の自分ができる世界の表現方法の限界を集めたものですから、自分自身の成長が良くよく実感できるものだと思うのです。

 

少なくとも、かつては全く文章を書けなかったのに、今ではちょっと時間を書ければスラスラ書けるようになり、しかも文章力もちょっとは上がったかなと思っている人間がここにいます。笑

 

リカレント教育が推進されている昨今、学び続ける教員も社会的要請として求められているかと思います。成長を実感できるツールとしてブログ、とてもいいですよ~

 

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言葉が多ければ、世界はよりクリアに見える

 

教師という職業柄、観察という営みからは逃れられない。

 

その時、その観察の成否を決めるのは言葉の多さかなと思う。

たとえば、旅行に行って森林を見た時、「きれい…」と一言だけでは観察も何もない。もちろん友達と会話するのであればこんな一言でも盛り上がる。しかし、口に出さずとも観察眼を鍛えるためには「樹齢200年は超えているであろう4メートルほどの杉の大木が道の端にずっーと並んでいて、木々の間から差し込む陽光が荘厳な雰囲気を醸し出している」とか、具体的に感じたこと、見たことを表現したい。

 

その時、どれほど表現できる言葉を持っているのかがとても大事になってくる。表現できないことは認識できていないことである。我々の認識は言語を介して行われる。

だから、わからない言葉があれば辞書を引いたり、読書をたくさんして言葉を増やしていくしかない。そうして、やっとその先に見えてくる世界がある。

 

そして観察眼を鍛えるには場数を踏むしかない。

速く走りたい、といってイメージトレーニングや走るフォームを座学で学んでいてもしょうがない。実際に走らなければ早くはならない。同じように日常的に観察をして表現を繰り返さなければ観察眼は鍛えられない。

生徒の様子から彼らの心情や考え、関係性、性格などを読み取るには毎日毎日の観察の繰り返しが必要だろう。

観察をしつつ、同時に言葉を増やしていけば、分析・観察はきめ細かなものとなっていく。

 

夏休みは読書をしたい、と思いつつ、まだまだできていない。ああ、頑張ります。

楽しさと学びを体感できる協働の可能性

 

楽しいこと、そして困難を共に乗り越えること、それが大切である。

 

 

楽しかった思い出、今となっては何もなし

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大学生のころ、ビジネスコンテストに参加したことがある。

 

チームで調査をして、アイデアを発表する、というオーソドックスなコンテスト。

結果的には何も賞は得られなかったが、チームで何かを作り上げる、という経験がとても楽しかったことはとにかく覚えている。

 

けれども、楽しかったという記憶ばかりで何かを得た、という記憶はあまりない。

 

賞や賞金などといったものは大してほしくなかったのかもしれない。

大学院受験とも並行していたので、身が入らなかったのかもしれない。

どちらにせよ、心の底から頑張ったと言えるものではなかった。

 

サプライズも研修も

 

社会人になり、サプライズを計画する機会を持つようになった。

 

幹事として、あれこれ考えるのは楽しい。考える過程で意見がぶつかることもあるが、それでも、より良いものを誰かと作ろうと協力するのは楽しい。

 

そうして自分たちが作ったものを誰かに喜んでもらえることは、なおのこと嬉しいわけである。

 

誰かに喜んでもらえるわけではないが、教員の研修にも同じ感覚を持ったことがある。

 

最近の研修はワークショップ形式が非常に多い。

自分の意志で参加しているとは言え、見知らぬ人たちと意見を交わすのには最初抵抗感があった。

 

けれども、実際やってみるとこれが結構楽しいなのだ。

主題に対して、大人が真剣に意見を交わして、あーでもない、こーでもない、と議論を交わすのは楽しい。

そうして、発表し終わった後には、もっとやりたかったなあ…という高揚感を覚えた経験が何度もあった。

 

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子どもたちにも同じ思いを

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次期学習指導要領には「対話的・主体的で深い学び」が盛り込まれている。

 

今まで対話というものに対して懐疑的だった。

 

研修では、大人が参加しているから意見が否定されたりしない。

むしろ、「貴重な改善策」として自分の意見が重宝される。

 

思えば、自分に自信がなかったのかもしれない。

だから、ワークショップで人と意見を交わすのが億劫だった、いや、というよりも怖かった。

否定されるのでは、聞いてもらえないのでは、という思いがあったから。

 

けれども、研修だとか、サプライズだとか、チームで共通の目標に向かって対話をすることは非常に楽しいし、何より自分にない見方を得られたり、成長できたりと色々と収穫もある。

 

こういう経験があったから、「議論の際には人の意見を否定しない」という不文律が、まさに身をもって理解することができた。子どもたちの自信を身につけさせ、そして議論がうまく回っていくためのルールであり、ワークショップを何度も繰り返せばきっと子供たちも自己肯定感を高められるのだろうと思った。

自分の意見は力のあるものなのだと、反映されるに値するなのだという実感を持つだろうから。

 

まとめると、要は子どもたちに、学びがあって、かつ楽しめるワークを提供したいと思った。

結局ワークショップも人が企画したものである。

ということは楽しくなる秘訣は環境面の整備など、人為的に構築可能なわけだ。

もちろん参加者の性質にもよるだろうけども、企画者としてどういうことに気を付けるべきなのか、しっかり勉強しようと思った。

 

まずは楽しさ。

そして目標設定である。その目標を達成するために何度も立ち上がって、試行錯誤することが成長にとって大事なのだ。

そもそも辛いなんて今の時代には合っていない。

 

辛さに直面して、それを乗り越えることは心の成長にとって大切なことだと思うが、教師はそれを子供に強制してはならないと思う。

子どもが自ら辛いことに向き合おうという気持ちを喚起してあげる、そういうモチベーションを震わせる方面に注力したい。

 

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『べしゃり暮らし』から思い出す教育実習の1シーン

 

つまんねぇんだよな

 

教育実習の研究授業後のことだった。

 

  

研究授業が終わった後のこと

 

 

入念に準備した教材。

パワーポイントはもちろん、何度も直したプリント。

 

授業が終わると生徒たちの拍手が響いた。他教科の先生方も観に来てくれた。大絶賛をいただき、他の実習生からも称賛されまくった。

 

当たり前じゃ。今までどんだけ勉強してきたと思っとるんじゃ…

 

その後、先生方にコメントをもらいに行った。

褒められるぞ…!!

 

そう思って浮かれながら聞きに行ったとき、冒頭の言葉をもらった。

 

もう有頂天になっているものだから、批判を求めていない。承認・賞賛を確認するためにコメントをもらいに行っていた。人間、都合のいいものである。

びっくりして言葉が出なかった。

 

もちろん、尊敬する先生から衝撃的な言葉をもらったから驚いたというのはある。

 

真意はいずこに

べしゃり暮らし』という漫画がある。

 

 

主人公は高校で爆笑王の異名を持つ上妻。

しかし、転校生に元お笑い芸人の辻本がやってきて、プロのお笑いの世界に関わることになる。

 

ある日、辻本の先輩であるお笑い芸人である金本に接触する機会を上妻はもつ。

「プロの芸人に認められる!」

そう意気込んだ上妻は自分の書いたネタをその芸人に見せる。

 

ネタを読み終えた芸人は一言。

 

おもんないわ

 

自信を打ち砕かれた上妻は逃げ去るように部屋から出てしまう。

 

辻本は金本に尋ね、その後真意が語られる。

 

辻本:そんなにダメでしたか…あいつのネタ

金本:何や、お前見てへんのか?

 

下ネタと一発ギャグのオンパレードや

それがまたしょーもない

ネタを客観的に見れてへん

破綻したネタの典型や

 

俺が高校の時に書いてたネタによう似てるわ

 

辻本:…じゃ…

金本:別に褒めてへんぞ

ああいう奴は一ぺん打ちのめしたらあかんねん

てゆーかこんなモン挫折のうちに入らんけどな

 

フッ

あんなクソネタを何の臆面もなくプロに堂々と見せられる度胸はまあ大したモンやけどな

(2巻第14話より)

 

才能を感じるからこそ、井の中の蛙にならないよう、調子に乗らないよう痛い目を見せたのである。

 

まさしくかつての私である。

というか、今もそうかもしれないが笑

 

実習先の先生も、研究授業ごときで浮かれて採用試験に臨まないよう、きちんと見てくれた上に、指摘までしてくれたのである。

今思えば、その人のおかげでより高みに登れるきっかけが得られたのだ。とても、とても幸せなことである。

 

何にせよ、こうして指摘してくれる人を持てることは幸せである。

普通は無関心を決め込み、適当に受け流すだろう。

 

言われるうちが華

 

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人に指摘されることで、自分の弱点がわかることは結構ある。

自分で客観視するにも限界がある。自分にない視点を持っている先輩に教えてもらうことで、成長のきっかけにできる。

 

自分の弱みに向き合うことはつらい。でも、それを乗り越えた時に大きく成長できる。

 

漫画に大切なことを教えてもらった。

 

ちなみにべしゃり暮らしは現在、テレビ朝日でドラマが放映されている。

www.tv-asahi.co.jp

 

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【私学志望者必見】私学の情報の集め方

 

今日は私学求人に応募する際にどのように情報を得ていくか、ということについて書きたいと思います。

 

 

まずは募集が出ているかどうかを

 

色々な私学を知ることは良いことです。

ただ、募集が出ていなければ応募することはできませんし、就職活動をすると決めた時に募集が出るとは限りません。ウルトララッキーです。

 

まずはこういったサイトで募集状況を確認していきましょう。

 

www.shigaku.or.jp

www.e-staff.jp

kyoin-saiyo.jp

 

募集が出る時期についてはこちらの記事で書きました。

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次は…調べよう

いざ募集が出ていたら応募する段階に移ります。

ここで初めて知る学校もたくさんあります。理想を言えば、「既に志望していた学校で、運よく募集が出ていたから応募した」がいいのですが、そんなことは現実的に難しいし、採用側もわかっているので、気にする必要はありません。どんどん応募してしまいましょう。

 

で、具体的な調べ方ですが、

  1. 学校のホームページ
  2. 転職サイト
  3. みんなの学校などの口コミサイト
  4. 学校ガイド
  5. 知り合いに話を聞く

 

等があるかと思います。

①学校のホームページ

まずは学校のホームページにアクセスしてください。

見るべきポイントとしては

  1. 教育の理念
  2. 教育方法
  3. 進学実績

等です。

私学の魅力は勤務校を(系列校がたくさんあって赴任地がわからない限りは)自由に選べる点にあります。

働く上で自分の実現したい教育と学校の教育理念が合致しているところが多ければ、働きがいも感じるでしょう*1

また、その具体的な運用方法としてどういう教育をしているかは非常に重要なところです。「これからの社会で通用する人材を育てる」と言っておきながら、板書ガリガリでノートをただひたすら移す授業をやっていたらヤバくないですか?

ICTの整備状況や授業の特色あるプログラムがあったら宣伝しているはずなので。

それから進学実績、これはどういう子どもたちを育てたいか、どういう授業をしたいか、というところで極めて重要なところかと思います。

たとえばバリバリの進学指導をしたいのなら進学校志向ですし、多様な進路を尊重させたいのなら就職から大学進学までを手掛けている学校(進路多様校)が合っているかもしれません。

要は理念と現実の面で自分と合っている学校かどうかが大事なんです。

このミスマッチをしないためにも自己分析と業界研究・企業研究はしっかりやった方が間違いなくいいです。

 

②転職サイト

学校のホームページは保護者と受験生向けに書いてあります。

外部に出していい情報しか載っていません。

内部事情を調べるのに一番なのは実際に中で働いている人の話を聞くのがいいのですが、知り合うのは至難の業です。というか無理(笑)

ですから、転職サイトに登録して働き方や待遇などを知ってみるのも、就職後の自分をイメージしやすいですし、何より志望度に大きく影響するでしょう。

特に私学は給与情報すら公開しないところが普通なので、内部の情報は非常に貴重です。積極的に登録して情報を集めましょう。

 

③口コミサイト

②の転職サイトは教員による口コミでした。

こちらは実際に在籍している生徒や保護者による口コミです。

食べログのようなものですが、一つ注意点を。

中高生がこういったサイトに書き込む動機はあまりありません。よっぽど伝えたいことがあってこそ書き込むので、2パターンに絞れます。1つはその学校がとっても好きで、自分が楽しかった思い出を伝えたい、もう1つはその学校に対してものすごい不満を抱えていて、絶対に来てはダメだと警告するパターンです。ミスマッチを起こして不満を抱えている層が目立ちます。

 

点数が高ければ満足度が高い層が多く、点数が低いと満足度が低い層が多い、というわけです。

そもそも普通の学校生活を送った層はこういったサイトに書き込まないでしょう。

 

ただ、このサイトは生徒の様子がよくわかるので、僕自身は良く参考にしてました。

ですので、学校の宣伝と実態の乖離を捉えるにはすごくいいですね。

www.minkou.jp

www.minkou.jp

 

④学校ガイド

こちらはホームページとあまり変わりはありません。

ですが、一定の地域の私学の情報が掲載してあるので、辞書のような使い方ができます。ホームページはその学校の詳しい情報が書いてありますが、ガイドのように項目ごとに整理されていません。

情報が整理してある形で手軽に見ることができ、かつ網羅性に優れている。

自分が本当に働きたい学校を探したり、応募の際に比較材料として使えたり、一家に一冊は持っておきたいですね。

 

 

 

⑤知り合いからの情報

 これ、一番入手難易度の高い情報です。

お金を払ってでも聞きたい情報です。

なんてったって生の情報ですし、グーグル検索をいくらしようが、出てこない情報をきけます。

 

大学の先輩ならキャリアセンターを通じてアクセスできますし、各種学会等に行けば現職の先生方はたくさんいるので、是非こういった所へ顔を出すと色々な知り合いができますので、良いなあと思います。

 

ただ学生の読者がいたら以下の点には気を付けてください。

そもそもは関係性がありきで聞くのが筋ですから、学生諸君が初めて会う人に話を聞く際には、きちんと礼儀をわきまえて聞きましょう。挨拶、お礼のメール、当たり前です。なにより入ったら上司になりますし。(社会人の方はここは流してください)

 

最後に

繰り返しますが、大事なことは

理念と現実の面で自分と合っている学校かどうか

です。

入ってミスマッチを起こすのは入社前のイメージと入社後の現実に開きがあるからです。そうした事態を回避して、楽しく働くためにも情報入手に手間を惜しまないで行きましょう。

 

今回は応募するにあたっての情報入手の面でお話をしました。

*1:ただ実際、教育理念を意識して働いている先生方は少ない方だと思います。

筋トレは最強のソリューションなのかもしれない

 

  

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法

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生活の変化

4月から筋トレとランニングをほぼ毎日している。

同時に食生活も見直して、栄養素に気を配るようにした。

睡眠時間も少なくとも7時間(できれば8時間)を確保するようにした。

 

するとどうだろうか。

全く風邪をひかなくなった。

 

去年は季節の変わり目はもちろん、頻繁に体調を崩していた。

けれども今年は一切風邪をひいていない。

 

健全な精神は健全な身体に?

 

新卒者が陥りやすいのは、私生活の犠牲や肉体の酷使によって疲弊してしまうことである。

まさに私が去年陥ったのはそうした状況だった。

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最近、非認知能力なるものが注目を集めているが、その中にはレジリエンスという概念がある。

逆境から立ち直る力のことだが、逆境から立ち直るには、まず体が正常な状態にあることが必要である。

そのために、ストレスケアとしての軽い運動や音楽などが有効だと知った。

そして、実際に効果はてきめんだった。 

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筋トレは最強のソリューションの一つなのかもしれない

 

表題のように筋トレは確かに生活を大きく変えてくれた。

しかし、筋トレばかりして、他の要素に目を向けなければ、あまり効果はない。

結局、筋トレを成功させるために栄養や睡眠に目を配り、同時にメンタルトレーニング関連の本の述べていることを実行したところ、相乗効果をもたらしたというのが正解だろう。

 

年を取ると必ず老化する。

抗わない限りは体力は低下する。そうなると筋トレやランニングなどにも手を出しづらくなる(一度やめた習慣を再び始めるのはすごくすごくめんどくさいものである)。

 

今回の記事をまとめていて、適度な余暇をもって、体調管理をすることが必須だと感じた。

教員の働き方改革をどうしていくべきか、というところを考えさせる…

 

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