こんにちは、しらすです。
今日は教材研究や社会情勢の理解に大きく役に立つ雑誌をご紹介します。
アカデミック寄りの内容ですが、ニュースを深掘りしたり、社会問題について考察する上できっと有益な材料を提供してくれるかと思います。
それでは、ご紹介します。
中央公論
中央公論新社が発行する月刊誌。価格は864円+税
各巻ごとに特集を取り上げ、最前線で活躍する大学教授や政治家など、様々な論客の記事が掲載されています。
たとえば、7月号の特集は「コロナ・文明・日本」。
特に注目したい記事は、早稲田大学教授の松岡亮二先生の記事です。
タイトルは「『やった感』はもういらない!ICT、九月入学…教育格差を是正するには?」。
コロナ禍に伴う全国一斉休校で教育格差はどのような状況になっているのか?現状把握をする上でも有益な記事だと思います。
また、現在連載中の「沖縄返還交渉の真実」という記事は社会科教員にとって非常に面白いのではないかと思います。
「沖縄の各密約をお膳立てしたのは私だ」-1960年代後半、沖縄返還交渉に深く携わった元米国国家安全保障会議(NSC)上級委員のモートン・ハルペリン氏が回顧録をまとめた。「沖縄返還」と題された章では、米政府内の議論の経緯や、佐藤栄作首相の密使として知られる国際政治学者、若泉敬氏との交流が描かれている。「核抜き・本土並み」の返還、有事の核再持ち込みの「密約」は如何に実現したのか。回顧録の内容を紹介する。(本誌P.180より)
最近、トランプ大統領の大統領補佐官を務めたボルトン氏が暴露本を出版しましたが、いつの時代も政権の内幕はエキサイティングですね。政治の世界がいかに本音と建前で動くかを象徴しています。
世界
こちらは岩波書店が発行する月刊誌です。価格は850円+税
中央公論よりもアカデミズム寄りの内容かと思います。
こちらも各巻ごとに特集が組まれるのですが、主に大学教授がジャーナリストなどが執筆の中心となります。
たとえば7月号の特集は「転換点としてのコロナ危機」です。
政治学者の吉田徹先生の「コロナ時代のデモクラシー」では、コロナウイルス対策をめぐる各国の統治体制に焦点を当てて考察をされています。次の一節は非常に示唆的です。
公文書の改竄や国会審議を迂回し続けてきた日本の現政権が信頼を欠き、死者数の少なさにもかかわらず不信感を蔓延させているのは、自ら招いた禍でもある。民主主義における信頼は、政治家の一貫性と真実を語るという資格なくして達成されない…(中略)…日本の自粛要請が法的強制力を持たず、政治的・社会的な同調圧力によってでしか達成できないのであれば、そしてそれゆえに緊急事態条項が要請されるのであれば、デモクラシーをより厚いもの、すなわち政治と社会のより緊密な相互作用と相互信頼による統治様式の創出が求められる。(本誌P.49)
その他、財政学者の神野直彦先生や中東政治の専門家である酒井啓子先生の論考は非常に面白かったです。
毎号、こんな感じで様々な論客の記事が掲載されています。
フォーリン・アフェアーズ・レポート
最後になりましたが、こちらはフォーリン・アフェアーズ・ジャパン
が発行する月刊誌です。価格は2300円と、ちょっとお高めです。
日本ではなく、アメリカの雑誌の翻訳版なので、基本的には海外の学者の論文が掲載されています。
ただ、社会科学の分野においては海外の方が研究が進んでいます。
ですから、英語は苦手だ、という人でも海外の最新情報に触れ、かつ重厚な論考に触れる機会になりますので、非常におススメです。
たとえば、7月号には『歴史の終わり』の著者フランシス・フクヤマ氏が「パンデミックと政治、何が対応と結果を分けたのか」という記事を書いています。
まだ7月号は発売されていないのですが、非常に楽しみですね。
ただ、こちらの雑誌は価格が若干高い点と、一般の書店ではあまり見かけない点がネックかと思います。大学生や大学院生は大学の図書館を積極的に活用しましょう!
可能であれば、推薦図書として学校の図書館においてもらうこともありですね。
社会科学を志向する高校生にもおすすめかもしれません(小論部対策とかに使えるかも)。
以上、社会派の先生にお勧めしたい雑誌3選でした。
教材研究は旬のものも仕入れなくてはなりません。
新聞やニュースはもちろんですが、こういった学術的な雑誌も旬のものを解剖して、調理するのに有益かと思います。
生徒のためにもなりますので、学校の予算で図書館においてもらったりすれば、生徒も先生も読めます。
是非ご一読を!