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「人生をどう生きるか」がテーマのブログです。自分を実験台にして、哲学や心理学とかを使って人生戦略をひたすら考えている教師が書いています。ちなみに政経と倫理を教えてます。

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【大人のための政治経済】大切にしたい「人権感覚」〜憲法で一番大事なこと〜

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こんにちは、しらすです。

 

安倍政権から菅政権に変わりましたが、憲法改正は引き続き重要な政治課題となっています。

そこで今回は憲法って何なのか、ざっくりと振り返って、憲法で大切なことは何なのか、憲法学者などの言葉を通じて解説していきたいと思います。 

 

 

YouTubeでも解説しております。よければご覧ください!


【大人のための政治経済】憲法ってそもそも何?

 

憲法って何?

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憲法とは、簡単に言えば国家が過去にしでかしてきた失敗リストです。そして、その失敗を二度と繰り返させないために、憲法はあります。

 

国家の失敗は無数にありますが、代表的なものとして①人権侵害、②戦争、③権力独裁が挙げられます。

各国それぞれ文化や歴史がありますが、大体共通して上記の失敗を侵しています。そうした失敗を繰り返さないためにも様々な仕掛けが憲法に盛り込まれています。

 

憲法はその国の「皺」が刻まれた顔である。国民の3分の1がポル・ポト政権によって殺されたカンボジアでは、1979年に同政権が崩壊し、1993年に憲法を制定したときそこに死刑廃止を盛り込んだ。なぜか。大量虐殺をやったポル・ポト派には、大量の死刑判決が予測された。だが、人々にとって、死はもう十分だった。再度、報復と憎しみが支配する国にしないためには、国家刑罰権から死刑という形態を奪っておく。国家の再建は死刑なしでやる。これがカンボジアの選んだ道である。このように、その国の憲法の背後には、それまでの失敗や反省を含めた国民的体験の皺がさまざまな形で重ねられているのである。(水島朝穂『18歳からの憲法』)

 

私たちは学校で日本国憲法の三大原理を学習してきました。国民主権基本的人権の尊重、平和主義です。

教科書の一記述に過ぎませんが、その精神が憲法という形で結実するには、それまで日本という国家が犯してきたさまざまな過ちの皺が刻まれているのです。

 

 

憲法は国に「守らせるもの」

 

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憲法は国家が過去にしでかしてきた失敗リストです。失敗のたびに迷惑をこうむってきたのは国民でした。だから、憲法は国家が守らなければならないのです。

 

そもそも憲法の目的は国民の人権を守ることです。

だからこそ、権力分立を規定して、一つの機関に権力が集中し独裁が起きないようにしたり、国民が最終的な決定権である主権を持ったりすることを謳っています。

そして、日本国憲法第99条では「憲法尊重擁護義務」という形で、天皇や政治家、公務員などの国家機関に憲法を擁護し、尊重する義務を課しています。国家が人権侵害をし内容、憲法を守ることが規定されているのです。

 

けれども、憲法があっても人権侵害は生じてしまいます。

それはイギリスの政治学者・貴族だったアクトン卿に言わせれば、「絶対権力は腐敗する」からです。

 

だからこそ、憲法は国民にある行動を求めます。それは、国家が憲法に反していないか、人権侵害をしていないか、常に監視し、声を上げることです。そもそも人権自体、時の支配者との戦いで勝ち取られていったものでした。

 

イェーリングという法学者の言葉を引用します。

この世の一切の法は闘いとられたものであり、いかなる重要な法規もまず、これに反抗する者たちから、闘いとられねばならなかった。こうして、国民の権利であれ、個人の権利であれ、およそどのような権利も、不断にこれを主張していく用意があることを前提としているのである。法は単なる思想ではなくて、生ける力なのである(イェーリング『権利のための闘争』)

ja.wikipedia.org

 

何か困ったとき、苦しい立場に置かれた時、憲法という武器をとって戦うことができるかもしれません。

 

憲法で大切なこと

 

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憲法の目的は人権保障でした。

では、日本国憲法で最も大切なことは何か?

 

それは個人の尊重憲法第13)です。

個人の尊重とは、誰しもがその人らしく生きる権利を持っている、というもの。

好きなことを職業にできる職業選択の自由、人間らしく豊かに生きる生存権などの規定は全て個人の尊重とつながっています。

 

でも、世の中には自分らしく生きることを制限されたり、自分の望まない生き方を無理強いされている人たちもいます。

だからこそ、学校で憲法を教えていて、子どもたちに身につけて欲しいものがあります。それが人権感覚です。

 

自分の知らない人でも、罪なくして苦しめられている人がいると聞いては、じっとしていられない気持ち…これが私のいう人権の感覚であります。(宮沢俊義憲法入門[初版]』)

 

同じ社会の中で誰か困っている人がいないか、公正も正義も損なわれた困難な状況にいないか、そうした人に想いを馳せ、いても立っても居られない気持ち。

こうした正義の感覚が憲法を通じて身につけられればと思っています。

 

 ▼過去の憲法裁判で弁護人を担当した大貫大八弁護士は人権感覚の体現者だと思います。

www.yutorix.com

  

2030年に達成が目指されている国際的な目標のSDGs、この理念は「誰一人取り残されないこと」です。

 

その実現には、地球のどこかで、罪なくして苦しめられている人がいないか、思いを馳せる人権感覚が必要なのかなと思います。

 

以上、今回は憲法ってそもそもなんなのか、ということについて解説しました。

それでは!

 

 ▼過去記事です。

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