こんにちは、しらすです。
9月・10月に出版された社会科学系書籍の中で「オッ!」と思ったものを、まとめます。
▼8月のおすすめはこちらです。
政治系新書
アフターリベラル
世界中で権威主義が台頭していますが、その背景にはリベラリズムの衰退があると筆者は言います。
混迷する世界をどうみるか、その一助となる一冊です。
リベラルの敵はリベラルにあり
民主主義とは何か
学術会議の選考から外された宇野重規先生の著書。
民主主義が世界中で疑問視される中で、それでも民主主義の可能性を歴史からひもといていく一冊。
ルポ 入管 -絶望の外国人収容施設
移民問題が世界中で叫ばれている一方で、その流入には消極的な日本政府。その際前線にあるのが入国管理局(入管)です。
本書は入管が外国人に対してどのような対応を取ってきたのか、丹念な取材を基に明らかにしています。
日本国憲法(最高裁判決)では残念ながら外国人の人権が日本人同様には保障されていません。だからといって人権侵害を容認していいわけではありません。本書では、これが先進自由民主主義国家である日本が行うことか、と思うような記述が大量に出てきます。
日本のリアルを知る上で、是非手にとってほしい一冊です。
国際系新書
中東政治入門
現在、中東情勢が大きく変化しようとしています。
アメリカやロシア、中国、トルコ、イスラエル、そして中東の二大国家サウジアラビアとイランの対立など複雑な様相を呈しています。
本書はそうした複雑な中東情勢を丁寧に解説してくれる一冊です。
▼中東情勢についてはこちらでも解説しています。
メディアが動かすアメリカ -民主政治とジャーナリズム
メディア・リテラシーが重要だと言われます。
アメリカではメディアの政治に対する影響力が非常に大きく、大統領選挙の動向すら左右されます。
筆者は歴史や現場取材からその特徴を丁寧に解き明かしてくれます。
アメリカ大統領選
アメリカ政治学の専門家が大統領選挙に関する理論的な説明を、また最前線のジャーナリストが今起きていることを丁寧に解説してくれています。
既に大統領選挙は終わってしまいましたが、4年後を見据えるなら改めて読む価値はあるのかなと思います。
アメリカの政党政治-建国から250年の軌跡
日本では自民党支持者以外にも様々な政党支持者がいますし、無党派層もかなりいます。けれども、アメリカの場合、国民のほとんどが民主党か共和党のどちらかの支持である場合が一般的です。
本書では、アメリカの二大政党制が歴史的にどのように形成されてきたのか、どのように制度化されてきたのかが解説されています。アメリカ政治・アメリカ社会を見る上で非常に有用な一冊です。
経済系新書
働き方改革の世界史
ブラック企業や過労死が世間を騒がせ、働き方改革が推進されています。
個人で出来ること、企業単位で出来ることと様々な対策がありますが、歴史にヒントを求めるのはいかがでしょうか。
デジタル化する新興国-先進国を超えるか、監視社会の到来か
デジタル化は先進国だけでなく、新興国の社会をも変えています。
現地通貨が余り信頼されていないアフリカ諸国で電子決済が普及したり、中国やインドなどでもデジタル技術が生活面に浸透しているといわれています。
さて、それが幸福な社会をもたらすのか、それとも権威主義国家による監視をもたらすのか、そして日本は今後どのようにすべきなのか、未来を占うデジタル化についての理解にオススメの一冊です。
歴史系新書
渋沢栄一 -日本のインフラを創った民間経済の巨人
次の1万円札に決定している渋沢栄一。
彼は近代日本資本主義の父と言われています。経済活動において倫理観を重要視した彼の経済観念とその人生を「論語・算盤・民主化」という3つのキーワードで紐解いていきます。
明治憲法史
戦前の明治憲法体制では天皇大権が強力で、議会の権限は非常に弱いものでした。
軍部の台頭を抑える制度的な歯止めがなく、戦争に向かってしまったと言われる一方で、明治憲法体制でも民主主義の芽は確実に育っていたというのが本書の主張です。
民主主義に対する疑念が突きつけられている現代において、改めて民主主義を見直す一冊になるのかと思います。
江戸幕府の感染症対策 なぜ「都市崩壊」を免れたのか
物語 東ドイツの歴史-分断国家の挑戦と挫折
今年はドイツ統一30年です。しかし、未だに東西間での経済格差があると言われています。
そうした負の側面に焦点があてられがちな東ドイツの歴史を様々な側面から明らかにしていくのが本書です。
▼ドイツではベーシック・インカムが導入されました。
地理・街歩き
水都 東京 -地形と歴史で読み解く下町・山の手・郊外
東京は様々な側面を持ちます。
下町から山の手、多摩地域などの郊外といったように幅広い地域を「水」という側面から分析し、街の姿を明らかにしていきます。
街歩きが好きなので、こういった都市解説の本は好きなんですが(ブラタモリが好きです)、学術的な視点で東京を明らかにする本書は非常に面白く読めるかと思います。
以上、9月・10月新刊オススメ本まとめ【社会科学系中心・新書編】でした。
皆様の読書の参考になれば幸いです。
それでは!
▼こちらは夏休みに読んだ本です。
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