こんにちは、しらすです。
10月の自殺者が2000人を超えました。昨年と比べて約40%の増加だそうです。
生きているとツラいことが必ずあります。
職場でうまくいかなくて、失恋をして、家族と不仲で、友人関係で失敗して、、、様々なツラいことが重なり、人生に悲観的になってしまうときもあります。
でも「こんな人生もう嫌だ」と絶望してしまったときにこそ、ニーチェは今の人生を積極的に肯定し、生きる勇気を持つんだ!と教えてくれます。
今回はニーチェの哲学について、その言葉と一緒にお伝えします。
ニーチェとは
本名はフリードリッヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(生:1844年、死没:1900年)
実存主義の代表的な哲学者の一人で、その文章も高く評価されており、ドイツの国語の教科書に採用されています。
ニーチェの思想
ニーチェが生まれた19世紀のヨーロッパ社会では、ある危機的な状況が起こっていました。
ニヒリズムです。
ニヒリズムとは、虚無主義、つまりこの世には信じるべき価値や真理なんかない、むなしい世界であるという考え方です。
この背景には、当時のヨーロッパ社会が信じてきた二つの柱が揺らいでいたことが関係しています。その柱とは、まず「理性」、そして「キリスト教」です。
ヨーロッパでは近代以降、理性に基づいて真理を探究するという哲学的ムーブメントがありました。
その営みは科学を大いに発展させ、産業革命、資本主義の確立につながりました。文明の発展に伴い、人々の生活水準は向上し、物質的・精神的に豊かになっていきました。
しかし、文明が発展しても真理にはたどり着きません。
物質的・精神的に充足しても果たして真理には行き着くのか?
ヨーロッパの人々の間には次第に文明の発展に対する疑問が生じてきます。
私たちのしていることは正しいのかな…?
理性に対する信頼が揺らいでいきます。
また、科学の発展に伴う合理主義的な発想が広まって行くにつれて、長く信仰の対象であったキリスト教にも疑問が呈されるようになります。
ここにおいて、今まで自分たちが信じてきた行動の拠り所が信じられなくなってしまい、ヨーロッパ人にニヒリズムが蔓延しているとニーチェは言いました。
なんだか今の時代も多様性の時代といわれますが、似たようなところがある気もします。
さて、ニーチェはニヒリズムの背景にはキリスト教の影響力が大きかったといいます。
当時、影響力が弱まったとはいえ、それでも多くの人に信仰されていたキリスト教をニーチェは奴隷道徳(ルサンチマン)と表現します。インパクト!
ニーチェによれば、キリスト教は現世の苦しみを肯定し、来世に期待させるための教えが多いといいます。
たとえば、新訳聖書には「金持ちが天国に入るのは駱駝が針の穴を通るより難しい」という記述があります。要は金持ちは天国に行けないということです。
逆に「貧しい人々は、幸いである」という記述がありますが、通常貧困は苦しく辛いものとされていますが、キリスト教では肯定されています。
しかし、これにより人は弱くなってしまった。
ニーチェによれば、人は本来的に強くありたいものであるといいます。たとえば、古代における強さのシンボルは鷹やオオカミでした。人間社会では市場は課題解決能力が高いので、富を多く持てば出来ることも増えるわけですが、キリスト教では富を多く持つことは否定されてしまった。その後数千年のキリスト教支配を受ける中で人々は弱さを積極的に肯定する価値観を身に付けてしまった。
しかし、そこでニヒリズムが生じ、人々は何を信じていいかもわからなくなってしまい、今まで心の拠り所であったキリスト教すら信じられなくなってしまった。そうした中で人々は人生に絶望してしまっていると言います。
だからこそ、ニーチェが主張したのは、自分自身を信じろということでした。
確かに今の世の中はニヒリズム蔓延るむなしい世の中です。
同じようなことが繰り返し起きる退屈な毎日を、代わり映えのない人生を過ごすしかないんだと。
でも、人生は同じことの繰り返しであることを受け入れ(運命愛)、その中で自ら変化を起こすべきだとニーチェは言います。
今まで信じていた価値が信じられないのなら、自分で価値を作ってしまえ!
それは「おいしいものを食べたい」、「金持ちになりたい」という価値でも、「困っている人を助けたい」という価値でも、何だっていい。
そして、そのためにはまずは自分自身が価値を生み出すものなんだという思いをもってほしい、自分自身をまずは尊敬することから始めてほしい、ニーチェはそう言います。
ニヒリズム蔓延る世界で、自分自身が求める価値を追求する強い人間をニーチェは超人とし、こうあるべきだと強く主張しました。
自分自身の信じる道を進むんだと…
人の顔を伺って自分の生きたいようになかなかできない、自分のやりたいことを押さえ込んで日々過ごしている、、、
そんなときにこそ、ニーチェはもう一度生まれ変わってもいいと思える人生を過ごせ!と高々に叫びます。
ニーチェの哲学は人生に勇気をくれる哲学だなあと思います。
ニーチェの言葉より
最後にニーチェの言葉の中でも好きなモノを載せておきます。
少しの悔いもない生き方を
今のこの人生を、もう一度そっくりそのまま繰り返してもかまわないという生き方をしてみよ。
初めの一歩は自分への尊敬から
自分はたいしたことがない人間だなんて思ってはならない。それは、自分の行動や考え方をがんじがらめに縛ってしまうようなことだからだ。
そうではなくて、最初に自分を尊敬することから始めよう。まだ何もしていない自分を、まだ実績のない自分を、人間として尊敬するんだ。
自分を尊敬すれば、悪いことなんて出来なくなる。人間として軽蔑されるような行為をしなくなるものだ。
そういうふうに生き方が変わって、理想に近い自分、他の人も見習いたくなるような人間になっていくことができる。
それは自分の可能性を大きく開拓し、それを成し遂げるにふさわしい力を与えることになる。自分の人生をまっとうさせるために、まずは自分を尊敬しよう。
『力への意志』
自分を知ることから始めよう
自分についてごまかしたり、自分に嘘をついたりしてやりすごすべきではない。自分に対してはいつも誠実であり、自分がいったいどういう人間なのか、どういう心の癖があり、どういう考え方や反応をするのか、よく知っておくべきだ。
なぜならば、自分をよく知っていないと、愛を愛として感じられなくなってしまうからだ。愛するために、愛されるために、まずは自分を知ることから始めるのだ。自分さえも知らずして、相手を知ることなど出来ないのだから。
『曙光』
ニーチェの思想が皆さんの人生に少しでも活きることがあれば幸いです。
それでは!
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