こんにちは、しらすです。
11月に出版された社会科学系書籍の中で「オッ!」と思ったものを、まとめます。
▼9・10月のオススメはこちらです。
政治系新書
コロナ危機の政治 安倍政権 VS. 知事
1993年の選挙制度改革、90年代後半から2000年代前半にかけての行政改革によって首相官邸に権限が集中し、中央政府の権限が強まったといわれます。
しかし、コロナウイルス感染症を巡る対応については地方が先行し、時には国と地方が対立する場面すらありました。
その意味では、今回のコロナショックは今後の地方自治体の権限の強さを象徴するきっかけだったともいえます。
地方政治と中央政治の関係を考える一冊です。
文在寅時代の韓国 「弔い」の民主主義
韓国では民主主義が非常に強く、逆に裁判所や政府の方針にも国民の世論が反映「されすぎている」という指摘があります。
文在寅政権は理想主義的な政策を掲げ、国民の期待を背負って誕生しました。
その政権が今どのような姿なのか、隣国の姿を正確に理解する一助となる一冊です。
経済系新書
2025年を制覇する破壊的企業
コロナショックをきっかけにデジタル化がいっそう進行しました。
有名な企業として、GAFAMやテスラ、クラウドストライク…
そして、今後5年間の経済はデジタル分野の企業が大きな影響力をもつと言います。
本書は2025年に影響力を持つ企業11社を分析し、これからの経済を読み解く一冊です。
是非オススメしたい一冊です。
就職氷河期世代の行く末
バブル崩壊後の就活戦線は非常に厳しいものでした。
日本型雇用慣行は不況のつけを新卒採用に回し、この時期の就活生の多くは非正規雇用にならざるを得ませんでした。
そして、約135万人の就職氷河期世代は今後の社会保障のあり方や格差の問題を象徴するものとなります。
今後の日本が向き合っていくこの問題をどう考えるべきか、非常に重要な一冊です。
給与クライシス
今、日本の雇用のあり方は大きく変わろうとしています。
メンバーシップ型からジョブ型へ、出勤から在宅勤務へ、、、
様々な変化のなかどうすれば良いのかを考える一助となる一冊です。
SDGs 危機の時代の羅針盤
今や企業や学校、そして政府など社会に浸透しつつあるSDGs。
そのイロハを政府の交渉官とNGOの代表が語り尽くします。
グローバル・タックス 国境を超える課税権力
少し前、パナマ文書が話題になりました。
世界中の富裕層が脱税をしていたわけですが、日本人はもちろん、英国のキャメロン元首相など政府の要人も脱税していたことが明らかになりました。
資本主義は必然的に格差をもたらしますが、それをある程度緩和しないと社会不安をもたらします。
その一つの手段が国際的な課税、グローバルタックスです。『21世紀の資本』が大ベストセラーとなったピケティ教授もこれを唱えています。
砂戦争 知られざる資源争奪戦
水などの資源は争奪戦が始まっていますが、実は「砂」も熾烈な争奪戦が行われています。
それは、砂がビルやガラス、様々なインフラの原料になるからです。
国際政治経済を眺める一つの視点を本書から得られるかと思います。
「バックキャスト思考」で行こう!-持続可能なビジネスと暮らしを創る技術-
思考法の1つにフォーキャスト思考という考え方があります。
これは過去のデータなどから未来の進路を予測するという発想です。
しかし、これにより創られた未来像は過去・現在の延長線にすぎないという欠点があります。
その対になる言葉として、バックキャスト思考があります。
これは、目指すべき未来を設定し、そのために現在において何が必要か、逆算して考える未来起点の発想法です。
SDGsなどの国際的な取り決めはもちろん、個人にも応用可能な発想です。
是非オススメしたい一冊です。
左翼の逆襲 社会破壊に屈しないための経済学
現在の経済危機で、個人の生活は大きく揺らいでいます。
そこで著者の松尾氏はマルクスの考え方を用いて、社会設計を見直すべきだと言います。
今後の経済を考える一助となる一冊です。
経済学の堕落を撃つ 「自由」 VS 「正義」の経済思想史
経済学は、経世済民という言葉から来ています。
これは、民の生活を良くする、という意味で、元々人間の幸福を目指した学問が経済学でした。
しかし、経済学は次第に人間の幸福を考えなくなった、つまり「堕落」したというのです。
その堕落の歴史を経済思想史から振り返り、追求する一冊です。
やばいデジタル "現実"が飲み込まれる日
デジタル化が進んでいますが、そこで問題になるのは情報の真偽。
その情報が正しいのか、フェイクなのか、デジタル社会は多くの恩恵をもたらす一方で、そうした多数の問題点もはらんでいます。
これからのデジタル社会とどうつきあっていくのか、私の専門であるシティズンシップ教育とも関わる一冊ですね。
歴史系新書
独裁の世界史
自由民主主義への信頼が揺らぎ、権威主義国家が世界中で台頭しています。
本書は、独裁という切り口で歴史を遡り、「なぜ独裁は消えないのか」というテーマを追求していきます。
現代社会を俯瞰する視座を養ってくれる一冊です。
アレクサンドロス大王
世界に大きな影響を与えた偉人、アレクサンドロス大王。
若くして亡くなった偉人の姿を多面的な視点から追求していきます。
村の日本近代史
ここで言う近代化とは、国家の統治に組み込まれる過程の進行という意味です。
その手段は住人や土地の正確な把握、度量衡の整備などに象徴されますが、その起源は豊臣秀吉政権期に遡ると言います。
日本史の多面的な理解にオススメの一冊。
哲学・思想・社会系新書
自分の頭で考える日本の論点
読書家、学者、起業家、様々な側面を持つ出口治明氏の新刊。
現在の日本が直面する㉒の論点について、どのように考えるか、その一つのあり方を教えてくれる一冊です。
魚をくれるではなく、魚の釣り方を教えてくれるのがいいですね。
他者を感じる社会学
人間関係が難しいのは古今東西変わらずの悩みです。
BLMやヘイトスピーチ、世界中で吹き荒れる差別の問題について学問の見地から考える一冊。
レイシズムとは何か
『他者を感じる社会学』同様、差別について考える入門書です。
本書は差別の要因を社会関係における権力関係に求めます。
この権力関係を分析し、自らのあり方を是正することが重要だと著者は言います。
社会には必ず権力関係が伴います。今後の人類社会のあり方を考える一冊です。
はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
スピノザは大陸合理論と呼ばれる哲学一派の一人です。
スピノザの唱えた思想は「エチカ」、日本語に訳すと「倫理学」です。
つまり、彼は「どう生きるべきか」という問題について洞察した哲学者だったのです。
コロナウイルスをきっかけにどう生きるべきかを考える人が増えていると言います。
その一助にオススメの一冊。
また、本書はスピノザの入門書としても最適です。
教育系新書
教員という仕事 なぜ「ブラック化」したのか
教員として働いていて痛感することですが、教育業界はモーレツに働くことでかろうじて成り立っている世界です。
残業時間が世界一長いと言われる日本の教員の世界、インタビューなどを通して問題の分析に真摯にあたっています。
教員の方だけでなく、多くの人に読んでもらいたい一冊です。
コロナ関連
疫病と人類 新しい感染症の時代をどう生きるか
感染症の専門家が、過去の感染症を踏まえた上でこれからの時代をどう生きていくか、指南する一冊です。
社会構造や歴史など様々な側面から新型コロナウイルスを考察しており、これからの社会や自分自身の生き方を考える上で示唆に富んでいます。
新型コロナ 収束への道
第三波が来ているといわれており、感染者数が日に日に増加しています。
本書は、新型コロナウイルスがどのように収束するのか、そのシナリオについて考察しており、これからの経済を見通す上で必読だと感じました。
経済に興味がある方に是非オススメです。
まとめ
今月も面白い本が多数出版されていて、どんどん積読がたまっていきます。
しかし、人生は有限。たくさん読みたいなあと思いつつ、時間はどんどん過ぎていくのが悲しいですね、、。
以上、11月新刊オススメ本まとめ【社会科学系中心・新書編】でした。
皆様の読書の参考になれば幸いです!
それでは!
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