今日はこういうお話です。
教員って採用前は科目ごとのジョブ型メインだけど、入ったらメンバーシップ型の仕事の割合高めですよね。
— しらす (@dokomademoinaka) 2020年11月21日
でも学校組織の仕事を体験する機会が数週間の実習しかないから、ミスマッチが起きやすい。
そういう意味では、長期インターンを導入した方が、離職者を減らすという点で効果あるかもね。
ジョブ型?メンバーシップ型?
近年、雇用のあり方が変わりつつあります。
従来主流であったメンバーシップ型からジョブ型という雇用のあり方へと変化しつつあります。
違いは次の通りです。
ジョブ型雇用。一言で表すと“仕事に人をつける働き方”です。
求人の時点で職務内容や勤務地、給与などがジョブ・ディスクリプション(職務記述書)によって明確に定められており、労働者はその内容に自分の希望・スキルが合っていれば応募します。ジョブ・ディスクリプションが更新されない限り、配置転換や昇給、キャリアアップは生じません。
一方、メンバーシップ型雇用は“人に仕事をつける働き方”。
仕事内容や勤務地などを限定せず、候補者はポテンシャルや人柄を考慮に入れて採用されます。そのため、メンバーシップ型での採用は“就職”というより“就社”に近いといわれることも。昇給・スキルアップ・配置転換・勤務地の変更など勤務環境が大きく変わる制度となっている・可能性があるのが特徴です。日本企業の多くは終身雇用・年功序列とともにメンバーシップ型雇用を採用しつづけてきました。
先生の働き方
学校教員になるには、基本的に教員免許がなければなりません。
教員免許は中学校・高校の段階では「教科」ごとに発効されています。
僕の場合は、「中学校社会科」「高校地理歴史科」「高校公民科」の3つの免許が交付されています。
この免許があるからこそ、政治・経済や倫理、日本史などを教えることができる、というわけです。
そして、学校教員の募集は基本的に「教科ごとに」行われています。
社会科の先生、数学の先生、というように教科を入り口にして募集が行われているのです。
先ほどの2つの働き方で言えば、教科の仕事ありき(つまり授業です)で募集をかけているので、ジョブ型に該当するかと思います。
しかし、教員の業務は授業だけではありません。
学級担任に、校務分掌と呼ばれる学校運営(企業で言う人事や労務、法務、経理、営業、広報などです)、部活動、生徒指導、行事運営というように多岐にわたる仕事があります。
愚痴っぽくなりますが、私学の場合には広報がかなり重要な業務になりますので、土日がよくつぶれます。笑
そして、上記の仕事は教員になる前には余り知る機会がありません。
それゆえ、入職してから割り振っていき、徐々に仕事を覚えていくというメンバーシップ型となります。
つまり、入職前は教科ごとに採用するジョブ型の側面が強いにもかかわらず、入職後にはその他の仕事の比重が非常に強くなるというメンバーシップ型の側面が強くなってしまうのです。
個人的な経験談ですが、入職前よりも入職後に知った仕事の割合の方が大きかった時期もありました。
こうした入職前後での働き方のギャップは色々な問題をもたらしていると思います。
たとえば、想像以上の仕事量にまいってしまい、退職・休職してしまう方や、本来主要な業務とされていた授業が疎かになってしまう等の問題はよく聞くところです。
実習よりもインターンシップを、そして業務の精選を
問題を改善する1つの方策としては、インターンシップの導入があげられます。
入職前後のミスマッチの原因はそもそも教員の仕事についての全体像を理解する機会があまりない、ということです。
(もちろん書籍やネットなどから十分知ることの出来る環境はありますが、それでも経験の機会があるにこしたことはありません)
学生のうちに教員の業務を経験する機会は、基本的には数週間の教育実習のみです。
確かに実習の学びは大きく、僕自身も実習を通じて教員の楽しさ(つらさも)味わったんですが、やっぱりたかだか数週間です。
ほとんど一過性のイベントに近く、教員の仕事の全体像は余り見えてこないわけです。
そこで長期のインターンシップの導入を掲げたいと思います。
多くの企業では、半年や一年程度のインターンシップが導入されています。大学生はもちろん、高校生の段階からインターンシップを経験する生徒も増えてきました。
しかし、学校では教育学部の授業プログラムを除いて、まだ一般的ではありません。
仮にインターンシップが導入されれば、学生にとっては未知なる先生の仕事を長期的に経験することができ、一方で先生にとっては業務を割り振ることになるので、働き方改革につながることになります。
つまり、win-winです。
こちらはミスマッチを改善するという目的に基づきます。
一方で、もう1つの方策はそもそもの業務の効率化という目的に基づくものです。
それが、業務のアウトソース化です。
先生個人が行う業務は教育活動だけでなく、部活動の集金や会計等などもあります。
でも、これって必ずしも先生が行わなくていいものではないでしょうか。
たとえばN校は、業務の一部をパートの方に任せているそうです。
オンラインで仕事を任せる、いわゆるギグワークで業務の一部を外部化しているみたいですね。
つまり、やろうと思えば出来るわけです。
アメリカの学校などでは授業担当やカウンセリング担当など、業務ごとに担当者が完全に分かれています。
どちらがいいかは一長一短だと思いますが、それでも社会全体の雇用のあり方が変わっていく中で教員だけは旧来のやり方に固執すべき理由もないかと思います。
分業という考えを取り入れ、それぞれが得意な分野に注力して全体としてのパフォーマンスを上げていく。こうした方向に移行するには、やはり「何をして何をしないか」業務を精選し、加えて「誰がやるべきで、誰がやらないべきか」という専門職としての業務の割り振りを考えていくべきなのかなと思います。
専門家なのか、何でも屋なのか、今のところ線引きは難しい…
近年、教員志望者は減少しつつあります。
背景には、日本の教員が世界で一番忙しいと言われ、「ブラック」化が進んでいることが指摘されています。
けれども、これからの教育の中心的な担い手はやっぱり教員です。
「おわりに」だけでもいいので、読んでほしい。
— しらす (@dokomademoinaka) 2020年11月29日
議論のために、正確に現状を把握する助けになる。 https://t.co/5OXPqC11xa pic.twitter.com/09zuUahPb0
持続可能な開発目標(SDGs)が普及し、至る所で見られるようになりました。
教育業界も持続可能にしていきたい所存です。
それでは!
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参考
川崎 祥子(文教科学委員会調査室) 「教員採用選考試験における競争率の低下― 処遇改善による人材確保の必要性 ―」参議院常任委員会調査室・特別調査室『調査と立法』
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2019pdf/20191101018.pdf
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