2022年から高校で新科目「公共」が導入されます。
そこでは自立した主体として社会参画する態度を育むことが期待されています。
では、社会参画とは何なのか。
北俊夫先生によれば、社会参画とはより良い社会の形成に関わることであり、単純な参加ではなく、企画・計画する段階から関わることを意味する概念です。社会の構想も含めているわけですね。
(https://www.bunkei.co.jp/school/komichi/pdf/monthly201509.pdf)
どこに参画するのか
さて、社会参画ですから、社会のどの領域に関わるのかを明らかにしたいと思います。
公民科は主権者教育を長年推進してきました。社会科・地歴公民科・公民科に通底する目標である「公民的資質の育成」とは主権者の育成に他なりません。
主権者は国政の最終決定権者のことです。国政とは立法・行政・司法の三権全てを含みます。したがって、国政に参画する(できる)ことが主権者に求められていると言えるでしょう。
立法・行政・司法の過程に参画する、その資質が「公共」をはじめとした社会科全体で育むことが求められているのです。
「社会参画」を細分化する
北先生の概念を細分化したいと思います。
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より良い社会を構想する(理想を持つ)
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実現するためにプロセスに分け、各段階に必要な手段を考える
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実現の手段を得る(ないしは得るために何がしかに何らかの働きかけをする
1と2は調査・思考の過程ですが、3の段階では行動を含んでいます。
社会参画の例
ここでは単なる参加を越えた参画の例を提示します。
ただし、どういう社会を形作るか、その明らかな形が描かれている根本的なものは法律です。ですから、社会参画のメインは立法過程へのものとなります。
①立法に対する方法としては
- 選挙(投票・立候補)
- ロビイング
- 市民立法
- 請願
などがあります。
②行政への参画方法としては
などなど。
③司法への参加方法としては
特に1は重要でしょう。ブラック企業や技能実習生の人権蹂躙がクローズアップされていますが、それと合わせるかのように労働関係の訴訟件数は増加しています。
(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0703_01.html)
自分の身を守るためにも法律に関する知識は必須であり、人権が尊重される公正な社会を構想するためにも必須の知識といえるでしょう。
授業で扱うのは…
さて、ここで社会参画の手法を上げたのは理由があります。
それは、「授業で扱う内容が実社会とのつながりを持っていること」を生徒に実感してもらうため。
授業づくりというのは「生徒が将来どうなっているか、理想的な在り方」から構築するバックキャスティングの手法を取ります。つまり、教育目標ありきなのです。
ですから、授業の在り方としては、先述の社会参画の在り方をなぞるように実施していくことが大事かと思います。
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より良い社会を構想する(理想を持つ)
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実現するためにプロセスに分け、各段階に必要な手段を考える
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実現の手段を得る(ないしは得るために何がしかに何らかの働きかけをする
何度でも持ってきます。笑
まず自分にとってどのような社会が理想なのか、それを考えるところからスタートします。
次に具体的な実現のプロセスを調べます。
最後にそれを模擬選挙や模擬投票、ないしは専門家への提案という形で行います。とにかくリアルさ、現実に近づけることが大事なのです。
リアルさの重要性
今の子供たちは意味を見いだしたことには、かなりのリソースを傾けます。
今後、今学んでいることがどうつながるのか。それをわかってもらうことが学習意欲の喚起につながるのです。
リアルであるかは非常に大切かと思います。
その思いを強めたのは、これがきっかけです。
木下斉さんといえば、地方創生のプロです。
プロに直接教えてもらうという体験は中高生にとっては宝物でしょう。
やる気も出ます。「おままごと」のような質では、学習意欲の喚起は困難になってくると思います。
子どもたちにとってもリアルな体験ができる魅力的な学校へ移ってしまうかもしれません。実際、N高の生徒数はうなぎのぼりです。
こういう取り組みを授業の中でどれだけ作り出せるか、それが「公共」を含めた、これからの授業づくりの鍵だと思います。
といっても、これらは夏休み中に構想したもの。2学期からの実践にどれだけ反映できるだろうか。。。