新卒教員の教科書

新卒のあの頃の自分へ向けたメッセージをつらつらと書いております。『新卒教員としてのオリジナルテキスト』をつくろうという試みによるブログ。社会科のこととかビビッときた本の書評とか日常生活のこととか。

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政治

【書評】民主主義だけが正義じゃない-森炎『裁判所ってどんなところ?』

去年読んだ本をもう一度読み直しています。 今回はこちらです。司法権に関する入門書です。 裁判所ってどんなところ?: 司法の仕組みがわかる本 (ちくまプリマー新書) 作者: 森炎 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/11/07 メディア: 新書 この商品を含…

投票-めんどくさくて、わかりづらくて、ありがたみのないもの-

統一地方選を目の前にしてなんてことを言うんだと思った方もいると思います。 タイトルはショッキングですが、言いたいことは表題とは真逆のことです。 なぜ投票率が下がっているのか、巷で言われていることとは別の視点から考えてみたいと思います。 投票率…

【書評】地方自治の時代へ-村林守『地方自治のしくみがわかる本』

修了式が終わりました。教員一年目は終わりましたが、勉強が終わることはありません。積読の消化にまいります。 おすすめポイント おすすめの方 授業のアイデア まとめ 今回はこちら。 地方自治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書) 作者: 村林守 出版社/…

やっと100記事!-過去の人気記事は?-

昨日書いた記事でやっと100記事に到達しました。 www.yutorix.com このブログも実は2014年からやっていますから、ブログ歴は4年以上になります。 (整理せずに次々と食材を買ってはぶち込まれた冷蔵庫の中くらい放置していました。本格的に稼働したのは去年…

セーフティーネットがガチャっておかしくない?っていう話

カルチャーショック 日本全体で格差が広がっている セーフティネットとしての家族 最後の砦がガチャで決まる時代 政府のすること/市場のすること カルチャーショック 僕は今年度から社会人になりました。 初任給という形で給料をいただいています。 ですが…

【書評】日本のルール=行政を知ろう-新藤宗幸『行政って何だろう』

水道事業の民営化が決まりました。 政府部門の民営化はイギリスが先行していますが、かの地では格差が拡大したことで社会的排除が問題となっています。 日本でも、特に2000年代から新自由主義的改革が進み、政府規制が緩和されていきました。行政の仕事がど…

【書評】公民を教える先生におすすめ-牧野淳子『投票に行きたくなる国会の話』

公民を担当される先生、この本すごいおすすめです。 社会をより良くするためにどうすればよいのか、具体的な政治参加の在り方が書かれています。新科目「公共」で強調されている「政治参加の手法や原理」、特に国会への働きかけの方法について「そんな方法が…

日本は中国・アメリカどちらと付き合うべきか?-小原雅博『日本の国益』

中国やロシアなどの権威主義国家の躍進が目覚ましい。リベラルな国際秩序が影を潜めていく中で、日本はどうしていくべきなのか、そのヒントをくれるであろう一冊がこちら。 日本の国益 (講談社現代新書) 著者は長年に渡って外交の最前線で活躍してきた元外交…

日本の外交政策は理念通り遂行されてきたのか?-外交3原則について

戦後の日本は戦前の反省を踏まえて国際協調路線の外交政策をとってきた。 日本の外交3原則 外交3原則の破綻が露呈した そして現在は 日本の外交3原則 第二次世界大戦後、日本の外交では「国連中心主義」「自由主義諸国との協調」「アジアの一員としての立場…

現代に甦るホッブズ-グローバル化の逆接

混迷を深める世界はどうなるのだろうか。ホッブズの面影がちらつく。 ホッブズの社会契約説-リバイアサンという国家権力 「新しい」万人の番人に対する闘争 リバイアサンの下で自由は 国家によるテロへの対処 www.yutorix.com ホッブズの社会契約説-リバイ…

立憲主義は果たして勝利したのか?-長谷部恭男『憲法とは何か』

立憲主義とは何か? 立憲主義に基づく憲法 どのようにして立憲主義はできたのか? 正統性をめぐる三つ巴の争い-立憲主義・ファシズム・共産主義 ファーストラウンド:第二次世界大戦 セカンドラウンド:冷戦 立憲主義(議会制民主主義)の勝利? たまには憲…

EUってそもそもなんのためにあるの?-統合史から見るEUの機能と限界

イギリスがEUとの間で合意なき離脱に向かっている。ここで、そもそもEUとはどういう目的の下で作られてきたのか、というところを確認してみたい。 EUにできること-その機能 冷戦後のEU EUにできないこと-その限界 現下の問題 まとめ EUにできること-その…

EUが世界に投げかけるもの-遠藤乾『欧州複合危機 苦悶するEU、揺れる世界』中公新書

今日紹介する本はこちら、遠藤乾『欧州複合危機』。さすが中公新書といった感じです。学術的な重みのある文章が270頁以上あるので、かなり読みごたえがあります。実際、仕事をやりながら1週間ほどかけて読み切りました。2年前に出版されていますが、正直もっ…

ロシアの行動原理とは?

超大国の不在。 中国の経済的・軍事的台頭によってアメリカの地位が相対的に低下し、国際秩序が変動期に入っている。 そうした変化の中で一定の地位を占める国がある ロシア。 日本との平和条約締結に向けた日ロ交渉、中東でのシリアへの介入、ウクライナへ…

アメリカ外交の重層性-村田晃嗣『アメリカ外交 苦悩と希望』講談社現代新書

中東情勢においてアメリカの果たす役割は大きい。 しかし、アメリカという国がどういう行動原理で動いているのか、いまいちわからない。そこで手に取ったのが本書である。 アメリカ外交 苦悩と希望 (講談社現代新書) アメリカ外交を見る眼-アメリカ外交を分…

「知識は陳腐化するのか?」-IT時代の知識の価値について~イラン問題を題材に~

知識は陳腐化するのか? 陳腐化とは、価値が低下することである。 インターネットがこれだけ発達した現代。 調べれば簡単に情報が出てくるようになった。 そういう時代において知識の価値は低下すると言われる。 果たしてそうなのかだろうか。 今日はその問…

ISが出現したわけ~アメリカの中東政策が招いた怪物-酒井啓子『9・11後の現代史』講談社現代新書②

中東は混沌とした状況にある。今では壊滅状態のIS(イスラーム国)の登場は衝撃的だった。 ここでは『9・11後の現代史』を参考に、ISがなぜ登場したのかまとめたい。 www.yutorix.com 9.11後の現代史 (講談社現代新書) IS(イスラーム国)とは? ISの出…

混迷の中東がわかる本-酒井啓子『9・11後の現代史』講談社現代新書①

新聞を読んでいて 中東情勢、全然わからない! と言って色々な本を探し、読んできた。 本に当たり外れをつけたくはないが、この本は大吉である。 本書は、21世紀の中東しか知らない若者には、「今見ている世界と中東がこんなに怖いことになってしまったのは…

混沌とした世の中だからこそ原理原則を-徴用工の問題を国際法と憲法から見よう-

去年の今頃、韓国では日韓協定が政治問題化していた。 文在寅大統領が見直しを示唆したからだ。 それに関して、去年こんな記事を書いた。 www.yutorix.com 要点をまとめれば、 韓国は自由民主主義国家と言われる。 国際法では、「合意」は拘束する、という原…

産油国がこれほど影響力を持てるようになったわけは?-酒井啓子『〈中東〉の考え方』

中東、と言えば様々なイメージが飛び交う。 シリアやパレスチナといえば紛争の最前線だし、サウジアラビアやUAEはオイルマネーで潤う王族の国だ。 その産油国が世界経済に及ぼす影響力は大きい。1980年代の中南米諸国の工業化は中東諸国のオイルマネーが流入…

中東情勢複雑怪奇-高橋和夫『中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌』

中東情勢複雑怪奇。 日本だと中東の問題は宗教問題で片付けられることが多い。しかし、宗教だけでなく、他の視点からも切り込んでいるのがこの本である。 結論を言えば、中東情勢についてわかったことも多かったし、疑問も多く出てきた。 本書で気になったと…

【ニュースの「なぜ?」と「だからなに?」】中距離核戦力全廃条約が破棄されるかも

そもそも中距離核戦力(INF)って何? 中距離核戦力全廃条約にはどんな意味が? なぜ破棄しようとしているの? 新聞にこんな記事があった。 米破棄方針で存続危機…INF全廃条約 現状は 中距離核戦力(INF)全廃条約は、トランプ米政権がロシアによる条約…

論文「平等と格差の社会思想史」まとめ

右を向いても「格差」、左を向いても「格差」である。 格差が社会的に「問題」として認識されているようだ。書店に行けば、「格差」を冠した本が平積みにされているし、ニュースでも格差に関する言説が飛び交っている。今回とりあげる論文では、格差と平等と…

選挙なんて意味ないんじゃないかな ~カウンターデモクラシーについての覚書~

選挙なんて意味ないんじゃないか…。 高校生の頃から感じていた疑問とは裏腹に、「選挙に行こう」という標語が日常生活の至る所で散見された。特に2015年に選挙権年齢が引き下げられてから、18歳選挙権を推進する運動で世間は大きく盛り上がった。しかし、そ…

文書改竄は何が問題なのか

絶対的権力は腐敗する 19世紀英国のアクトン卿の言葉である。100年以上前の発言ではあるが、現代の民主主義社会においても大きく示唆に富む言葉である。 文書改竄の問題点~民主主義とどんな関係にあるの?~ 森友学園を巡る財務省の文書改竄問題が報道を賑…

自由民主主義の価値

中国が目覚ましいスピードで発展を遂げている。台頭する中国を賛美する声が増えていく一方で、日本やアメリカ、EU諸国など自由民主主義諸国の凋落ぶりを嘆く声が聞こえない日はない。しかし、それでも私は声を大にして言いたい。自由民主主義にはそれ自体価…

韓国は「自由」民主主義国家か

今月10日、韓国が日韓合意に関して一方的な新方針を打ち立てた。文在寅大統領は、合意に関して「再交渉は求めないが、真実と正義という原則に立った解決を促す」と謳った。日韓合意は「最終的かつ不可逆的な解決」ではなかったのだろうか。 日本と韓国の共通…

政治参加の意義

ルソーの指摘 フランス革命に大きく影響を与えたルソーは次のような言葉を残している。 「イギリスの人民はみずからを自由だと考えているが、それは大きな思い違いである。 自由なのは、議会の議員を選挙する間であり、議員の選挙が終われば人民はもはや奴隷…

安定した政治のための工夫

アメリカでは大統領選挙の真最中である。ドナルド・トランプ氏が共和党の正式候補となり、民主党の正式候補となったヒラリー・クリントン氏と激戦を繰り広げている。世界最強国家の首長を決定するだけあって、アメリカ国内だけでなく世界中から、次のリーダ…

新しいアメリカンドリーム

人は夢を見る。夢は、多くの人を魅了する。1867年のロンドンでマルクスは『資本論』を発表し、それ以降、彼の思想は世界中の人を魅了していった。そして、現在でもなお、大西洋を隔てたアメリカにおいて、マルクス主義から発展した社会主義を掲げる人物が人…