Shiras Civics

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「人生をどう生きるか」がテーマのブログです。自分を実験台にして、哲学や心理学とかを使って人生戦略をひたすら考えている教師が書いています。ちなみに政経と倫理を教えてます。

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2018-01-01から1年間の記事一覧

2018年の振り返り

今年は修士の学位もとることができ、念願の教師にもなれた。 一年はあっという間だ。 限られた時間の中で今後も成長するために、今年の自分のあり方を振り返りたいと思う。 仕事面での振り返り 5つの面での成長 何を学んだのか?-4つの学び ブログについて …

中東情勢複雑怪奇-高橋和夫『中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌』

中東情勢複雑怪奇。 日本だと中東の問題は宗教問題で片付けられることが多い。しかし、宗教だけでなく、他の視点からも切り込んでいるのがこの本である。 結論を言えば、中東情勢についてわかったことも多かったし、疑問も多く出てきた。 本書で気になったと…

自分の人生を生きるために - 梶谷真司『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』

「考える生徒を育てたい」。 そう思って教員となり早数か月。 目の前の課題に追われていた2学期が終わり、冬休みに入ったので原点に立ち返ろうと思い購入した本。 正直、かなり共感した部分が多く、教育に携わる方にはぜひ読んでもらいたいなあと思っている…

格差に抗する「つながり」-『ヒルビリー・エレジー』②

人は一人では生きていけない。衣食住はおろか仕事をするにも、つながりがあってこそ可能なのだ。ましてや、社会的な成功であったり自己実現であったり、衣食住以上のものを実現しようものならば、個人の力だけではほとんど不可能といっていいだろう。 本書に…

新自由主義の行き着く先ー『ヒルビリー・エレジー』

人は生まれる場所や時代を選ぶことはできない。だからこそ、自由と平等の国アメリカでは、逆境から成功することがアメリカン・ドリームとして称えられてきた。しかし、今やそれは本当に単なる夢と化しつつある。 著者はイェール大学を修了したエリートながら…

エリートのかじ取りにすべてがかかっている-『物語 シンガポールの歴史』

シンガポール、と言えばトランプ大統領と金正恩氏の会談が開かれた場所として記憶に新しい。 そんなシンガポールがどのような歴史をたどってきたかを簡潔につづった一冊。 シンガポールは多様な顔を持つ。経済成長率は平均して高く、日本よりも一人当たりGDP…

神社の楽しみ方

樹齢数百年の高木に阻まれ、陽光はまばらに射している。場所によっては昼間でも暗く、鎮守の森が古来より続いてきたことを想起させる。俗世とは無縁な静謐な環境は、そこになにか神聖なものを感じさせる。神社に参拝した時、こうした独特の雰囲気を感じられ…

未来の日本からやってきたと言われたら-かわぐちかいじ『ジパング』

「60年後の日本からやってきた」。 こんなことを言われて、あなたはどう思うだろうか。ましてや、その人間の言う未来があなたにとって悲惨なものだったとしたら。 今回紹介する『ジパング』はかわぐちかいじ作の漫画である。 2000年代初頭、南米に向けて出航…

「考える」ためにはどうしたらいいの?-ちきりん『自分のアタマで考えよう 知識に騙されない思考の技術』

本書の内容 知識に騙されるな ちきりんの弱点 まとめ 私たち教員がよく生徒に言う言葉がある。 「しっかり考えろ」 しかし、「考えるってどういう風にやればいいの」という質問を生徒からよく聞く。 思い返すと、少なくとも僕は高校までの授業で「考え方」を…

因果関係を特定することは難しい-伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』-

今回は伊藤公一朗著『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』を紹介したい。 この本は、データ分析を平易な言葉で解説した本だ。数式等は出さず、「感覚的」にデータ分析を理解してもらうために書かれている。 本書の内容 データ分析の利点 データ分析を錦の…

【ニュースの「なぜ?」と「だからなに?」】中距離核戦力全廃条約が破棄されるかも

そもそも中距離核戦力(INF)って何? 中距離核戦力全廃条約にはどんな意味が? なぜ破棄しようとしているの? 新聞にこんな記事があった。 米破棄方針で存続危機…INF全廃条約 現状は 中距離核戦力(INF)全廃条約は、トランプ米政権がロシアによる条約…

動機づけについて考えた - アメとムチだけじゃ人は動かない -

夏の暑さはどこへやら。 もうすぐ10月になる。高校3年生は受験勉強や就職試験に忙しい時期だろう。 生徒たちを見ていると大学受験の頃の思い出が頭をよぎる。 あの時期は気が付けば参考書を開いていた。 さて僕が担当するクラスはほぼ全ての生徒がAO推薦や指…

わたしが教師になったわけ 原体験としての1945と2009

教師になって約半年。 節目ということで、なぜ教師になったかを振り返ってみた。思い起こせば社会をどうにかしたいという気持ちがあった。 私の針路を決めた決めた出来事 原体験としての政権交代 アイデンティティとしての祖父 教師としての自分と民主主義 …

『意識高い系中島diary』を読んで、新学期への憂鬱さが吹っ飛んだ話

今日は9月1日。 長い長い夏休みが終わり、新学期が始まる日である。 夏祭りに花火大会、海にBBQ。イベントが目白押しのこの季節、ある生徒は部活に打ち込み、ある生徒は受験勉強にかかりっきりだったかもしれない。 思い思いの夏を懐古しながら生徒たちは登…

本郷和人『日本史のツボ』を読んだらタメになった

歴史を教えていると必ず直面する課題がある。 歴史って何の役に立つの?という質問。もう就活の時に何千回と反芻し、就職してからも何度も考えた。というか生徒から聞かれる。 正直なところ、君は役に立つというたった一つの視点でしか物事をみれないの?別…

ざっくり冷戦史

冷戦とは? 冷戦をとらえる枠組み 具体的に冷戦を整理すると 緊張と緩和の繰り返し 緊張Ⅰ【冷戦の開始】 第二世界大戦 戦後 緩和Ⅰ【雪どけ】 緊張Ⅱ【キューバ危機】 緩和Ⅱ【デタント】 緊張Ⅲ【新冷戦】 緩和Ⅲ【冷戦の終結】 冷戦を学ぶ意義 冷戦とは? アメ…

大学入試から考える現代社会「日本で格差は拡大しつつあるのか?」

大学入試問題から考える現代社会「日本で格差は拡大しつつあるのか?」 2017年 大学入試センター試験【政治・経済】より 問2 次の表は日本、アメリカ、デンマーク、ドイツにおける2000年代の低所得層に対する所得再分配の比率と、所得再分配後の相対的貧困…

旅の効用

3か月間教員として働いた。夏休みに突入し、今までの働き方を振り返ると、あることに気づいた。院生時代もそうだったが、教材研究のために膨大な量の本や論文を読んだことだ。深夜まで教材研究をした日には、翌朝とてもつらかったことを覚えている。けれども…

財政規模はどうしてここまで肥大化したのか-福祉国家の誕生-

政治学を学んだ当初、経済と政治の結びつきにピンとこなかった。しかし、経済学もある程度学ぶようになると、両者は密接なかかわりを持つことが分かった。さて、今回の記事は財政の続編になる。 福祉国家ができたわけ 財政とは 財政とは「政府が税金を徴収し…

「常識」の破綻

10年ひと昔、どころではない。1月ひと昔である。 社会は刻々と変化する。10年ひと昔というが、情報が氾濫し、新たな技術が目覚ましい勢いで開発される現代において変化は月ごとに起こるだろう。そうした状況においては従来の常識が通用しなくなることもある…

仮想通貨の可能性

国債の貨幣化という大問題 国債の貨幣化という問題がある。政府が発行した国債などを日本銀行が直接引き受けることであり、財政赤字を補填するために日銀が政府に直接協力することを意味する。 しかし、財政法第5条では日銀の直接引き受けは原則的に禁止され…

国債は無限に発行できるのか

そもそも赤字国債は発行することはできない 国債が無制限に発行できるからくり ポイントは次の通り 財政法第4条には次のように書かれている。 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付…

財政の機能

では市場とは… 第1の機能:資源配分 第2の機能:所得再分配 第3の機能:景気の自動調整機能 来年度の概算要求基準が決まった。早い話が、来年度に各省庁の使える予算がどのくらいかが決まったわけである。ここで財政に関してしっかりと理解する必要性を感…

これからの時代のリーダー

個人化、グローバル化、少子高齢化 現代社会のリーダー像 「多数派」というものが形成されにくい世である。 現代社会は多様な価値観が共存する社会である。ウルリッヒ・ベックはこうした現代社会の現象を「個人化」と呼んだ。個人化とは、従来の価値観や慣習…

現実を見据えるために~書評『アドラーの教え』

「このクラスはやりづらいな…」「このクラスは話を聞かないな…」 授業中に反応が薄かったり、生徒が寝てしまうと、ふとこんな考えを抱いてしまうことがある。思考とは恐ろしいもので、ふと何となく考えたことでも脳内で反復されてしまうと、それが行動に反映…

江戸幕府の役人に学ぶ

舞台は160年前 明らかになったのはハリスのウソ 不易と流行…時代が変わっても変わらず大切なものがある 世の中で「先生」と呼ばれる職業との営業の際には、一般の顧客以上に説明を要するらしい。基本的に疑ってかかるために、多くの情報を提供しないと信用し…

歴史を学ぶ意義

歴史とはなんだろうか 相対化ができなければ 江戸時代の武士は時代の流れを読めなかった 相対化はどんな教育的価値をもつのか 生徒の日常には相対化できるものであふれている。 歴史を学ぶ意義 実際の教壇に立って歴史を教えていると、生徒が歴史を学ぶ意義…

論文「平等と格差の社会思想史」まとめ

格差の問題点 格差に対する認識の推移 近年の格差への潮流 解決策は まとめ・疑問 参考 右を向いても「格差」、左を向いても「格差」である。 格差が社会的に「問題」として認識されているようだ。書店に行けば、「格差」を冠した本が平積みにされているし、…

お金の歴史とこれから

貨幣以前の社会 市の成立 物品貨幣が登場した 紙幣の登場 金が価値の源泉に 目に見えないものを価値の源泉に おくりびと。 10年前なら「納棺士」だけを意味したこの言葉も、今では全く異なる意味が加わった。「億り人」、つまり仮想通貨で一億円以上の収入を…

貨幣、通貨、資金の違いについて

言葉を整理する意味:貨幣、通貨、資金の違いとはなんだろう 貨幣とはなにか 通貨とはなにか 資金とはなにか 練習問題:日本最古の通貨は? まとめ 言葉を整理する意味:貨幣、通貨、資金の違いとはなんだろう 仮想通貨、金融緩和、インフレーション、巨額の…