新卒教員の教科書

私立高校一年目。『新卒教員としてのオリジナルテキスト』をつくろうという試みでブログを書いてます。社会科のこととかビビッときた本の書評とか日常生活のこととか。

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動機づけについて考えた - アメとムチだけじゃ人は動かない -

夏の暑さはどこへやら。 もうすぐ10月になる。高校3年生は受験勉強や就職試験に忙しい時期だろう。 生徒たちを見ていると大学受験の頃の思い出が頭をよぎる。 あの時期は気が付けば参考書を開いていた。 さて僕が担当するクラスはほぼ全ての生徒がAO推薦や指…

わたしが教師になったわけ 原体験としての1945と2009

教師になって約半年。 節目ということで、なぜ教師になったかを振り返ってみた。思い起こせば社会をどうにかしたいという気持ちがあった。 私の針路を決めた決めた出来事 原体験としての政権交代 アイデンティティとしての祖父 教師としての自分と民主主義 …

『意識高い系中島diary』を読んで、新学期への憂鬱さが吹っ飛んだ話

今日は9月1日。 長い長い夏休みが終わり、新学期が始まる日である。 夏祭りに花火大会、海にBBQ。イベントが目白押しのこの季節、ある生徒は部活に打ち込み、ある生徒は受験勉強にかかりっきりだったかもしれない。 思い思いの夏を懐古しながら生徒たちは登…

本郷和人『日本史のツボ』を読んだらタメになった

歴史を教えていると必ず直面する課題がある。 歴史って何の役に立つの?という質問。もう就活の時に何千回と反芻し、就職してからも何度も考えた。というか生徒から聞かれる。 正直なところ、君は役に立つというたった一つの視点でしか物事をみれないの?別…

ざっくり冷戦史

冷戦とは? 冷戦をとらえる枠組み 具体的に冷戦を整理すると 緊張と緩和の繰り返し 緊張Ⅰ【冷戦の開始】 第二世界大戦 戦後 緩和Ⅰ【雪どけ】 緊張Ⅱ【キューバ危機】 緩和Ⅱ【デタント】 緊張Ⅲ【新冷戦】 緩和Ⅲ【冷戦の終結】 冷戦を学ぶ意義 冷戦とは? アメ…

大学入試から考える現代社会「日本で格差は拡大しつつあるのか?」

大学入試問題から考える現代社会「日本で格差は拡大しつつあるのか?」 2017年 大学入試センター試験【政治・経済】より 問2 次の表は日本、アメリカ、デンマーク、ドイツにおける2000年代の低所得層に対する所得再分配の比率と、所得再分配後の相対的貧困…

旅の効用

3か月間教員として働いた。夏休みに突入し、今までの働き方を振り返ると、あることに気づいた。院生時代もそうだったが、教材研究のために膨大な量の本や論文を読んだことだ。深夜まで教材研究をした日には、翌朝とてもつらかったことを覚えている。けれども…

財政規模はどうしてここまで肥大化したのか-福祉国家の誕生-

政治学を学んだ当初、経済と政治の結びつきにピンとこなかった。しかし、経済学もある程度学ぶようになると、両者は密接なかかわりを持つことが分かった。さて、今回の記事は財政の続編になる。 福祉国家ができたわけ 財政とは 財政とは「政府が税金を徴収し…

「常識」の破綻

10年ひと昔、どころではない。1月ひと昔である。 社会は刻々と変化する。10年ひと昔というが、情報が氾濫し、新たな技術が目覚ましい勢いで開発される現代において変化は月ごとに起こるだろう。そうした状況においては従来の常識が通用しなくなることもある…

仮想通貨の可能性

国債の貨幣化という大問題 国債の貨幣化という問題がある。政府が発行した国債などを日本銀行が直接引き受けることであり、財政赤字を補填するために日銀が政府に直接協力することを意味する。 しかし、財政法第5条では日銀の直接引き受けは原則的に禁止され…

国債は無限に発行できるのか

財政法第4条には次のように書かれている。 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。…

財政の機能

来年度の概算要求基準が決まった。早い話が、来年度に各省庁の使える予算がどのくらいかが決まったわけである。ここで財政に関してしっかりと理解する必要性を感じたので、まとめてみたい。 財政とは「政府が税金を徴収したり、公債を発行することで資金を集…

これからの時代のリーダー

「多数派」というものが形成されにくい世である。 現代社会は多様な価値観が共存する社会である。ウルリッヒ・ベックはこうした現代社会の現象を「個人化」と呼んだ。個人化とは、従来の価値観や慣習が共通認識・了解とはならず、個人が多様な価値観や慣習を…

現実を見据えるために~書評『アドラーの教え』

「このクラスはやりづらいな…」「このクラスは話を聞かないな…」 授業中に反応が薄かったり、生徒が寝てしまうと、ふとこんな考えを抱いてしまうことがある。思考とは恐ろしいもので、ふと何となく考えたことでも脳内で反復されてしまうと、それが行動に反映…

江戸幕府の役人に学ぶ

世の中で「先生」と呼ばれる職業との営業の際には、一般の顧客以上に説明を要するらしい。基本的に疑ってかかるために、多くの情報を提供しないと信用しないからだそうだ。そんなことを営業職の方から聞いた。 自身の利益がかかっているのだから当然の態度だ…

歴史を学ぶ意義

実際の教壇に立って歴史を教えていると、生徒が歴史を学ぶ意義とは何なのだろうかと考えることがある。 しかし、業務が忙しいと甘えては検討をしてこなかった。正直なところ、生徒の将来において歴史学習がいかに貢献するか、歴史を学ぶ意義は何か、そういう…

論文「平等と格差の社会思想史」まとめ

右を向いても「格差」、左を向いても「格差」である。 格差が社会的に「問題」として認識されているようだ。書店に行けば、「格差」を冠した本が平積みにされているし、ニュースでも格差に関する言説が飛び交っている。今回とりあげる論文では、格差と平等と…

お金の歴史とこれから

おくりびと。 10年前なら「納棺士」だけを意味したこの言葉も、今では全く異なる意味が加わった。「億り人」、つまり仮想通貨で一億円以上の収入を得た人物を指す言葉として一般的になりつつある。今朝の日経新聞の記事に、2017年度の仮想通貨取引を含めた収…

貨幣、通貨、資金の違いについて

言葉を整理する意味:貨幣、通貨、資金の違いとはなんだろう 仮想通貨、金融緩和、インフレーション、巨額の企業買収…。お金に関するニュースが流れない日はない。ましてや日常生活においても、お金と無縁な日はないだろう。 だからこそ、原点に立ち戻りたい…

人間であるために

切迫した状況が、彼を思考停止に陥らせた。 日大アメフト部の選手が関西学院大学との試合中、相手選手へ反則行為をし、重症を負わせた。その件について、日大の選手が謝罪会見を開いた。会見全文を読んでみて、ある作品を思い出した。『エルサレムのアイヒマ…

選挙なんて意味ないんじゃないかな ~カウンターデモクラシーについての覚書~

選挙なんて意味ないんじゃないか…。 高校生の頃から感じていた疑問とは裏腹に、「選挙に行こう」という標語が日常生活の至る所で散見された。特に2015年に選挙権年齢が引き下げられてから、18歳選挙権を推進する運動で世間は大きく盛り上がった。しかし、そ…

文書改竄は何が問題なのか

絶対的権力は腐敗する 19世紀英国のアクトン卿の言葉である。100年以上前の発言ではあるが、現代の民主主義社会においても大きく示唆に富む言葉である。 文書改竄の問題点~民主主義とどんな関係にあるの?~ 森友学園を巡る財務省の文書改竄問題が報道を賑…

『天皇の日本史』『近代天皇論』を読んで、天皇について考えた

先日、皇太子殿下が58歳の誕生日を迎えた。来年には天皇陛下の退位が予定されており、皇室や天皇の在り方に関する議論が論壇を賑わせている。 にもかかわらず、天皇についてあまりにも自分が無知なことに気付いた。慌てて書店に行って手に取ったのがこの2冊…

説明責任について

政治学において説明責任という言葉がある。説明責任はアカウンタビリティーといい、アカウンティング(説明)とレスポンシビリティー(責任)を合わせた造語である。この言葉は元々アメリカで生まれたものであり、アメリカ大使館によれば次のように定義され…

かぼちゃの馬車の問題が教えてくれること

より安全に、より快適に暮らしたい こうした欲求の存在は、人類社会を発展させる原動力として機能してきた。しかし、過度な欲求の拡大は人類にとって毒となるようだ。 かぼちゃの馬車問題 都内でカボチャの馬車という女性専用シェアハウスの物件数が急増加し…

経済発展を支える根幹

古今東西、あらゆる悩みは経済問題 あらゆる政権における課題に経済発展がある。それは古来から為政者が気にかけてきたことであった。現在のような高度な技術を必要とする産業とは異なり、明治以前の日本における主要な産業は農業であった。したがって、開墾…

表層的な禁止

10年間ながらも東京23区内の大学定員抑制が閣議決定された。東京への人口一極集中を是正し、衰退が叫ばれる地方大学への進学者を増やすことを狙いとしている。人材育成等に取り組んだ地方大学などへ補助金を支給するそうだ。 ある政策との類似性~江戸時代版…

人が移住する理由

現在の東京都の人口は1370万人を超える。日本全体では人口減少局面に入ったにもかかわらず、東京では人口が年々増加している。これは出生数の増加だけでなく人口流入が要因として大きい。なぜ人が集まるのか。その一つの理由は生活の糧を得られるから、すな…

大量廃棄問題に見る資本主義

縁起は良いが、需要はさほどなかったようである。節分の日に店頭に並んだ恵方巻は大部分が売れ残り、大量に廃棄されている。しかし、この問題は恵方巻に限ったものではない。 www.asahi.com 無限の資本主義 日本の年間食品廃棄量は2800万トンという。これは…

歴史から仮想通貨を考える

2日、金融庁が仮想通貨取引所のコインチェックに立ち入り検査を実施した。仮想通貨に対する監視体制が強化される一方で、マネーロンダリングなど違法な資金調達の温床になるといった理由から、インドや中国など各国が仮想通貨市場の規制に乗り出している。こ…