Shiras Civics

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「人生をどう生きるか」がテーマのブログです。自分を実験台にして、哲学や心理学とかを使って人生戦略をひたすら考えている教師が書いています。ちなみに政経と倫理を教えてます。

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街から広告が消え始めて見えるもの~景気と学校経営~

 

終電, プラットフォーム, 夜, 電車, トランスポート

 

電車で病院に向かっている時にちょっとした変化を感じました。

 

あれ…鉄道会社の注意書きが増えてる。

広告がなくなってる。

 

 

街の変化から感じた、広告費の減少と経済の関係、そして学校経営について考えます。

 

広告費の位置づけ

 

私企業が最も重視するのは利益の追求です。

利益は売り上げから経費を引いたもの。ですから、売上げを伸ばし、経費をどれだけ減らせるかが利益の最大化に貢献します。

 

さて、経費の中で広告費はどんな位置づけなんでしょうか。

「広告宣伝費」とは、不特定多数の方に向けた宣伝効果を意図して支出する経費のことをいいます。したがって、自社の製品やサービスを宣伝するためのインターネット広告や新聞広告、テレビのCM作成、パンフレットやリーフレットの作成などにかかった経費を計上する時に使用する勘定科目になります。

【税理士監修】広告宣伝費とは | 販売促進費・交際費との違いや仕訳例を解説 - ミツモア

 

宣伝は自社製品・サービスを認知してもらうために行われます。

広告宣伝自体は直接利益を生み出すものではありませんから、広告費用に対して売り上げがどれ程伸びるか、つまり投資に対するリターンが重要になります。

同時に売り上げが伸びるには、潜在的な消費需要があるということが前提になります。もちろんターゲティングによって異なりますが、販売対象が広ければ広いほど、多くの人が十分な所得を持っているということが重要になります。認知されたところで買ってもらわないと仕方ないですからね。

 

日本企業の傾向として、不況になれば真っ先に広告費を削る傾向にあります。

景気後退期に広告費はどうあるべきか:朝日新聞社メディアビジネス局 - 広告朝日

 

写真のようにGDPと広告費の増減は連動しています(緑が名目GDP、青が広告費)

リーマン・ショックが直撃した2009年にはガクッと減少していますが、それ以降はGDPの伸びと連動して増加傾向にあります。

日本の総広告費と国内総生産(GDP)の推移

2019年 日本の広告費 - ナレッジ&データ - 電通

 

今年はどうだったのでしょうか。

日経新聞によれば、今年はコロナショックの影響で広告費が減少しているようです。

www.nikkei.com

 

また、こちらの記事によればオンライン広告よりもオフライン広告の方が減少幅が大きいとのことです。

電車内の中づり広告やホームのポスター広告が確かに減ってますもんね。

media-innovation.jp

 

今後の経済はどうなる?

不況になれば企業は真っ先に広告費を減らす。

これは利益の最大化を追求する企業にとって、広告宣伝が直接利益を生み出すわけではなく、また不況によって潜在的な消費市場が縮小していることから当然起こりうることです。

 

起こりうる影響として2つが考えられます。

まず広告企業、広告系部署の人員整理です。配置転換等もあるとは思いますが、そもそもコロナショックは消費需要の減少をもたらしました。特に外食産業は売り上げを大幅に減らしているため、広告関係以外の部署に異動するとしても雇用できる限界があるため、失業者は増加していく可能性が高いです。

次に広告収入からの収益を土台にしている企業への影響です。グーグルなどの検索プラットフォームが代表的ですが、こうした企業の中には別の企業からの広告収入が収益構造の中心になっている企業もあります。

企業は真っ先に広告費を減らしているため、広告収入からの収益も当然減少します。

 

Alphabetの決算報告の中身は、一種の警告のようだ。CFOのRuth Porat(ルース・ポラット)氏は、四半期後半の落ち込みについて「第1四半期の最初の2カ月は好調だったが、3月は広告収入がかなり鈍化した」と述べている。

グーグルはAlphabetの売上と利益の大部分を生み出しているが、それは主に広告収入だ。事実、検索とYouTubeと同社のネットワークからの広告の売上は、2020年最初の3カ月における売上の82%を生み出している。

Alphabetの第1四半期売上は予想を上回るも、3月に広告収入が大きく鈍化 | TechCrunch Japan

 

夏の決算が続々と発表され始めましたが、広告収入に依存するビジネスモデルの企業はこれからちょっとヤバそうです。

 

学校教育への視点-学校はどんな価値を提供できる?

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中学受験はとりあえず受験させようか~というソフトな層から小学校入学前から中学を調べている熱心な保護者まで幅広い層がいます。

現在までは5万人前後を推移していたと記憶していますが、総数は今後減少していく可能性があります。

 

ただ、今回のコロナショックに伴う景気減退は今後の日本社会(というか先進国)の格差社会化をより加速させていくと思われます。その一方で所得上位層はより強固に生き残っていくと考えられます。そうなれば、いわゆる私学・国立の偏差値上位の学校(日本の誰もが名前を知っている学校です。荒川区とか、駒場とか、神戸市とか)は安定して募集人員を集めることができると思いますが、中位層の学校は苦戦を強いられていくのではないかと思います。

 

ただし、高校受験においても変化が生じてくると思うので、その戦略次第では経営が安定するかもしれません。

リーマン・ショック後、公立高校の受験希望者が増加しました。この流れは2020年以降、さらに加速していくかと思いますが、公立高校には定員があります。

したがって、残念ではありますが、公立に落ちて滑り止めの私学に入学する場合もあります。

 

たとえば、東京都では偏差値上位の学校で高校募集をしている学校はあまりありません。むしろ募集を停止する傾向にあります(たとえば、池袋にある名門女子高が高校募集を停止します)。

ですから、必然的に第一志望の公立よりも受かりやすい私学を受験する、というケースが増えるでしょう。そうなれば、中位層の学校は中学受験ではなく高校受験に活路を見いだしていくかもしれません。なぜなら、学校の収入源は①受験料、②学費が中心だからです。

 

ただし、厳しい時代となるため、費用対効果の面からも、受験生・保護者の目はより厳しくなるでしょうし、そうなれば学校がどのような価値を提供していくかが重要になり、特に上位層以外の学校間競争がより激化していくでしょう。

すると、不況下ではありますが、企業とは異なり、学校の場合は広告費は削れなくなります(上位校は別です。知名度・ブランドがあるので、広報する必要はほぼありません)。

 

ただ、上記については主に、私学が多い三大都市圏に該当するかと思います。

 

とはいえ、学校として、教員として、どのような価値を提供できるかは考え続けなければなりません。

 

どんな価値を生徒・保護者に提供できるだろうか?

自問自答しよう。

 

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