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「人生をどう生きるか」がテーマのブログです。自分を実験台にして、哲学や心理学とかを使って人生戦略をひたすら考えている教師が書いています。ちなみに政経と倫理を教えてます。

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【大人のための政治経済】ギンズバーグ連邦最高裁判事が死去~なぜ最高裁判事の人事が国民の関心事になるのか?~

 

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www.jiji.com

 

アメリカの連邦最高裁判所ルース・ギンズバーグ判事が18日になくなりました。

ギンズバーグ氏は連邦最高裁で史上2人目の女性判事。

リベラル派の判事で、女性差別問題に関する裁判を多く手がけました。

 

さて、今問題になっているのは後任の人事を誰にするか。11月に行われる大統領選挙の争点にもなりました。

日本では最高裁判所の人事はほとんど話題になりませんが、アメリカでは国民的関心事になっています。

なぜこれほど注目されているのか、その理由をひもといていきましょう。

 

 

リベラル派?保守派?

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アメリカでは、保守とリベラルという形で大きく世論が分かれています。

 

渡辺靖氏によれば、保守とは次の3つの条件が該当します。

① 自由な市場競争を重んじること(=規制緩和、減税、民営化、自由貿易の促進など) 
② 地域や教会を中心とした自治の伝統を重んじること(=政府主導による制度や規範の形成を拒むこと)
③ 国際社会における自国の行動の自由を重んじること(=国際機関や他国によって米国の利益を左右されないこと)

 

一方で、リベラルの条件は次のようになります。

① 政府による一定の市場介入を是とすること(=規制・監査・監督、累進課税、公共事業、社会福祉環境保護保護貿易への指向性が高いこと) 
② 社会的な少数派や弱者の権利・支援を是とすること(=積極的な差別是正措置の推進など) 
③ 国際社会や他国との協調を是とすること(=対話や交渉を重んじること)

 

厳密に分けられるわけではありませんが、アメリカでは保守=共和党リベラル=民主党という形で分かれています。

現在のトランプ大統領共和党出身で、次の判事を保守派から選ぼうとしています。

www.nikkei.com

 

連邦最高裁の人事動向が与える影響

Associate Supreme Court Justice Ruth Bader Ginsburg Visits WFU


大統領には連邦最高裁判事指名権が与えられています。議会の上院で承認されれば、人事が確定し、終身で判事を務めることになります。

連邦最高裁判事とは、日本でいう最高裁判所裁判官にあたるというイメージです。

日本の最高裁の定年が70歳までなので、亡くなるまで裁判に関わるのは日米での大きな違いですね!

 

さて、なぜこの判事の人事が人々の注目を集めるのか?

それは連邦最高裁が社会に与える影響が非常に大きいからです。

 

アメリカの最高裁には違憲立法審査権という権限が与えられています。

これは、法律などが憲法に違反していないかどうかをチェックする権限のこと。連邦最高裁判事は、このチェック権限を持っています。

 

通常、憲法が変わるときは「憲法改正」をイメージするかもしれません。

でも、違憲立法審査の結果、違憲判決が下れば、「今まで大丈夫だったものが憲法に反する」という解釈・認識に変わるので、憲法解釈が追加・変更される形になります。

つまり、違憲判断は実質的な憲法改正の意味を持っているのです。

日本の違憲判断はこれまで10程度しか出されていませんが、アメリカでは2014年までに177回の違憲判決が下されました。そのたびに社会が大きく変わってきた。つまり、裁判所の影響力が非常に大きいのです。

 

米国の連邦最高裁で保守化が進む可能性 トランプ大統領再選なら 中絶・移民など重要判決にも影響:東京新聞 TOKYO Web

 

上の図は最高裁判事の構成メンバーです。ギンズバーグ氏が亡くなり、新たな判事に保守派が任命されれば、今後の違憲判断や憲法判断は保守派にとって有利なものとなりかねません。

アメリカには国論を二分するような課題が多くありません。例を取ると、人種問題、格差問題、宗教問題、銃規制問題などなど。。。

 

裁判所の役割は少数者の権利保護、法の下の平等実現にあります。

だからこそ、ギンズバーグ氏の後任が誰になるかは非常に重要な問題なのです。11月3日の大統領選挙に向けて、今後大きな焦点になっていく問題かと思います。

 

www.yutorix.com

 

この問題は日本でも同様です。

日本の場合はアメリカのように厳格な三権分立が採用されておらず、裁判所も積極的には憲法判断を示しませんが、国民審査という形で我々国民が裁判官を選べる制度がある以上、その人事に関心を持つのは重要なことかと思います。

それでは!

 

 

参考

 

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