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「人生をどう生きるか」がテーマのブログです。自分を実験台にして、哲学や心理学とかを使って人生戦略をひたすら考えている教師が書いています。ちなみに政経と倫理を教えてます。

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【大人のための政治経済】年収200万円以下の給与所得者が1200万人突破~「民間給与実態統計調査概要」から見える日本経済の動向

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国税庁が「民間給与実態統計調査概要」を発表しました。

今回はこちらの統計を踏まえて、現状解説的な記事になります。

 

 

何が問題か?統計を読み解こう

 

まずはこちらの新聞記事をご覧ください。

 

lynn57008569さんのツイート画像

 

そもそも「民間給与実態統計調査概要」とは何でしょうか?

国税庁はこのように発表しています。

民間の事業所における年間の給与の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別等に明らかにし、併せて、租税収入の見積り、租税負担の検討及び税務行政運営等の基本資料とすることを目的としている

 ざっくり言えば、日本で働いている人がどれくらいの給与をもらっているかの統計です。

 

今回のニュースは、その統計で年収200万円以下の人が1200万人を超えたというものです。

平均年収が436万円ですから、その半分を下回る人が少なくとも1200万人以上いると考えると凄まじい不況ですね…。

 

さて、今度は実際の調査概要を見てみましょう。

 

▼給与階級別給与所得者数・構成比

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https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf

 

こちらの数字を見ていくと年々、給与所得者の合計数が増えていることがわかります。

これは今まで働いていなかった人が引き続き働いていたり、あるいは記事中でも引用されているとおり、定年後の高齢者や主婦のパートタイマーが合算されているからとされています。

 

ちょっと計算して去年と比較した人数を出してみたいと思います(千以下は切り捨て)。

100万円以下 約47万人増加

100万円~200万円 約55万人増加

200万円~300万円 約22万人増加

300万円~400万円 約31万人増加

400万円~500万円 約17万人増加

500万円~600万円 約18万人増加

600万円~700万円 約10万人増加

700万円~800万円 約10万人増加

800万円~900万円 約10万人増加

900万円~1000万円 約8万人増加

1000万円~1500万円 約5万人増加

1500万円~2000万円 約4万人増加

2000万円~2500万円 約4万人減少

2500万円~ 約1万人減少

 

なんと計算して驚きですが、最高水準の高所得者が約5万人も減っています。

全体としての母数は増えているわけですが、2000万円までの各所得階層が増えており、特に年収が200万円以下の増加数が100万人を超えていることがわかります。

 

統計から見えてくること

 

2019年の厚生労働省の調査によれば、各世帯の所得の中央値は437万円でした。

今回の統計では、全体的な給与所得者が増えているとはいえ、所得の中央値を下回る人が150万人以上増加しています。

また、トップ層の高所得者が減少しています。もちろん、この統計は給与所得者ですから、なにか経営をしている事業所得者や株式投資などから得る金融所得者は計算されていません。

 

ですが、この統計から、給与所得者全体の傾向として低所得化が進行しているといえます。

また、この統計はあくまでも2019年の調査ですから、コロナショック以前の状態を示しています。コロナショックにより企業の倒産、失業などが生じ、GDPは大幅に下落しており、今年は2019年よりも景気が悪化している状況です。

給与が下がれば、消費が控えられます。消費が控えられれば、売上げが減少し、給与も減少します。給与が減少すれば…(以下繰り返し)というデフレ・スパイラルの状況に陥っているといえます。

 

こうした状況下で、景気対策の一環として日銀が金融緩和をしていますが、日銀が刷ったお金は残念ながら労働者ではなく、金融市場に向かっています。

 

▼家計にお金が回らないという点について解説しています。 

www.yutorix.com

 

金融緩和の目的はお金を貸しやすくすることです。

ですが、今の時代、そもそも企業が事業をしても、人々の所得が下がり続けているので、需要がありません。需要なきところにビジネスは成立しませんから、企業は銀行からお金を借りたがりません。

つまり、金融緩和をしたところで経済は回らないのです。

一方で銀行などの金融機関はお金を持ってるだけでもしょうがないので、自ずと株式市場などにお金が向かいます。すると日経平均株価アベノミクスが始まって以降、ぐんぐんと伸びていきました。

 

菅政権に代わっても金融緩和は続いたため、コロナショックが起きても日経平均株価はすぐに回復しました。

 

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2020年の3月頃にがくっと下がっていますが、すぐに回復しています。

このように株高は堅調に推移していますが、その一方で給与所得が減少し続けています。

 

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逆行するかのような政府の施策が行われるようです。

こうした点を見るに、今必要な政策は莫大な金融緩和というよりも手厚い家計支援ではないかなあと思います。

今回は現状解説的な記事でした。それでは!

 

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