8月に出版された社会科学系書籍の中で、「オッ!」と思ったものをまとめます。
国際系新書
国際人権入門
コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線
コロナウイルス感染症の拡大は我々の生活を様々な面で変えつつあります。
働き方から学び方まで…。そうした変化の先に何があるのか、各界の著名人が論陣を張っています。
SDGs(持続可能な開発目標)
産業革命以降、人類の物質的生活はかなり豊かになったといえます。しかし、豊かさの代償として環境問題や地球規模の格差などグローバルな課題に直面しています。
国連は2030年までにSDGs(持続可能な開発目標)として、17の目標を掲げ、誰一人として取り残さないことを謳っています。そうした流れに乗じて、官公庁や企業などがSDGsを取り入れる動きを見せるようになりました。
2030年と言えば、今の小学4年生が大学を卒業する頃です。SDGsの担い手を育てていく上で必携の一冊といえるでしょう。
歴史系新書
民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日本近代
昭和史講義【戦後篇】(上)
下巻とのセットになります。
上巻では、占領期から55年体制の成立、60年代の自民党抗争史まで、20のテーマに分けて書かれています。
昭和史講義【戦後篇】(下)
上巻とのセット。
こちらは石橋湛山内閣の崩壊からバブル崩壊まで、21のテーマが取り上げられています。
上・下巻共に、多くの論客が執筆した豪華な入門書です。
グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀
近現代を語る上でアメリカを外すことは出来ません。
アメリカがどのような国際秩序を築いてきたのか、アメリカ国内にも焦点を当てて解説していきます。
東京裏返し 社会学的街歩きガイド
経済系新書
教養としての投資入門
最近、書店に行くと資産運用系の書籍が増えたように感じます。
生活不安を抱えている人が多い、そうした需要が見込める、という社会のトレンドなのでしょう。
こちらの本は投資について考え方から方法まで幅広く教えてくれる一冊です。
「投資は人生を豊かにする教養」という本書の考え方、読んでみると納得すること間違いなしです。
教育格差の経済学 何が子どもの将来を決めるのか
著者は格差社会という言葉の生みの親です。
経済学の観点から教育格差について、様々なデータを用いて述べられています。
教育格差については、松岡先生の著書をまず読むことをオススメします。
教育・思想系新書
世界哲学史(8) 現代 グローバル時代の知
世界哲学史シリーズの最終巻です。
西洋哲学の最前線にあるポストモダン哲学をはじめ、ジェンダー思想に言及するだけでなく、イスラーム、中国、日本、アフリカまで射程を広げ、現代におけるグローバル哲学のあり方を探ります。
範囲が膨大で論客も多様なため、消化するのがかなり大変ですが、知的トレーニングを積みたい哲学好きの方には是非。
全体主義の克服
ここ数年、マルクス・ガブリエルが日本の論壇で注目されています。
本書は、全体主義にどう向き合うか、その材料を提供してくれます。
まず20世紀の全体主義が、国家による締め付けと市民の不服従の対立でした。
一方で21世紀の全体主義は、国家の統制とインターネットを通じた人々の自発的な服従から構成されています。
言論弾圧やポピュリズムなど自由民主主義を揺るがす出来事が世界中で生じています。現代的事象を考える視座として、また全体主義の入門としてオススメの一冊。
同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか
コロナ警察という言葉が散見されますが、コロナウイルスを発症した人に対する村八分の事例は全国から届いてきます。
これを日本社会の文化論に焦点を当ててひもといたのが本書です。
著者はコミュニケーションを専門に扱う二人。世間をキーワードに「生きづらさ」の正体を明らかにしていきます。
問題発見力を鍛える
VUCA(ブーカ)とは4つの単語
- V olatility(変動性)
- U ncertainty(不確実性)
- C omplexity(複雑性)
- A mbiguity(曖昧性)
から頭文字をとって作られた単語であり、現代のカオス化した経済環境を指す言葉です。一言でいうと「予測不能な状態」を意味します。
学力格差を克服する
全ての子どもに必要なことは学力保障だ!
そう著者は訴えます。
学力格差を様々な側面から捉え、公教育の今後のあり方を見据える一冊。
今後のトレンドを考える上で大きな位置を占める一冊になるのではないでしょうか。
▼夏休みの積読です。