コロナショックで落ち込んだ日本経済が回復傾向にあるようです。
内閣府が公表した8月の景気動向指数は前月と比較して、改善傾向にあるとのことです。
ただニュースを見るときに注意してほしいのは、次のポイントです。
個別の産業を見ないと具体的な日本経済の状況は見えてこない。
個別の産業を見てみると日本経済は依然として厳しい状況にあります。
景気動向指数とは?
景気動向指数とは、内閣府が毎月発表する景気の動きを示す指標です。
いろいろな指標を足し合わせたものが以前と比較して良くなっているか悪くなっているかを示すもので、構成指標には有効求人倍率や営業利益などがあります。
イメージはお弁当です。お弁当(景気動向指数)に含まれるおかず(各種指標)が全部豪華だったら景気はいい。おかずが以前よりも貧相になっていたら景気は悪い、というイメージです(結構乱暴ですが)。
※景気動向指数には、CIとDIの2種類があります。今回の内閣府が発表した速報値はCIです。
▼CIとDIについて、詳しくはこちらのリンクをご覧ください。
さて、今回の内閣府の8月の速報値では、以前まで悪化とされていたのが下げ止まりに改善しました。
景気は波のような動きを示します。具体的には好景気=山、好景気からの後退、不景気=谷、不景気からの回復の4局面を循環するのが景気動向です。
景気循環とは?原因やグラフの波を分かりやすく解説します | マネナレ
では、現在の状況はどうだったのか?
7月30日の政府発表では、2018年10月が景気の山とのことでした。つまり、2018年11月から景気は後退している傾向にあったのです。
先日の景気動向指数の上向き報道では、2018年11月から続く景気悪化から下げ止まりへの改善、つまり谷底から脱却しつつあるということが示されました。
確かに改善傾向にあるようですが、あくまでも全体的な経済状況です。
個別の産業はどのような状況なのかもニュースを引用しつつ、見ていきたいと思います。
▼GDPについて解説しています。
▼日銀の金融緩和について解説しています。菅政権も基本的に金融緩和を継続する方向でいるようです。
個別の産業はどのような状況か?
まずは金融業の雄、メガバンクの状況です。
10月6日、みずほ銀行が希望者に対して週休3日から週休4日の働き方とする制度を12月から始めると発表しました。
スキルアップやセカンドキャリアのためとし、給与は週休3日だと従来の8割、週休4日の場合には6割まで減るとのことです。
これは働き改革の体をなした人件費の削減です。
金融業はお金の貸し借りが本業ですが、そもそもバブル崩壊以降、本業による収益はあがらず、また人工知能などフィンテックが普及してきたことで、余計な人件費が経営を圧迫しています。
そもそも企業にとっては、株式の発行などで銀行からお金を借りる必要性が低下しているため、そのビジネスモデルすら転換を迫られるかもしれません。
コロナ禍における低収益に加え、今後の経営体質の強化のために人件費に手をつけた、というところかと思います。
次に航空業界です。
2週間の隔離措置が解除されるとのニュースがありましたが、それでも航空業界は依然として厳しい状況です。
ANAが希望退職を募り、また冬期賞与はゼロになり、月例賃金も減るそうです。年収で3割減とのことで、かなり厳しい状況です。
そもそも航空機はリースが一般的なので、ただ保管しているだけでも賃料が発生します。またメンテナンスにかかる費用も含まれますので、飛ばさない飛行機はタダの金食い虫です。
2週間の隔離措置解除の主な対象は海外出張などですが、コロナ禍でZOOMなどリモート会議で済んでしまうことが明らかになったので、今後も航空業界は厳しい状況です。
関連する旅行業界も厳しいですね。コロナウイルスが変質して毒性が強くなる可能性もありますし。
一方で、スーパーやデジタル関連の産業は業績が非常に好調です。
(ただファミマは100億円の赤字を出しました。コンビニは苦境のようです)。
まとめ
景気動向指数は改善傾向にあります。
日本経済全体としては、谷底から脱却しつつあるところです。
でも、日本経済の状態をより正確に把握するには、マクロな視点だけでなく、ミクロな視点で各業界を見ることも必要です。
これはGDPなどのマクロな経済指標についても同様です。
以上、ご覧いただきありがとございました。
それでは!
▼経済の入門書として一番オススメかと思います。ご興味のある方はぜひ!
▼クリックいただけますと幸いです!よろしくお願いします!