結果は前の3ヶ月に比べて32.9%のマイナスでした。
非常に厳しいところです。
項目別に見ると、GDPのおよそ7割を占める個人消費はマイナス34.6%、企業の設備投資はマイナス27%、それに輸出はマイナス64.1%と、軒並み大幅な悪化となりました。
この記事を読めば、リンク先のニュースを理解できるようになります!
GDPとは?
GDPというのは、国内総生産(Gross Domestic Product)のこと。
簡単に言えば、一国の経済全体をある期間で区切って、どれくらい新しいモノやサービスが生産されているのかを表わす指標です。
通常は、一年間に生産された付加価値の合計と表現されます。
その国の経済規模を示していて、国際比較を可能にするためにドルや円などの通貨で表わされます。
経済学では、主に3つのキャラクターしか出てきません。家計、企業、政府です。
GDPはこの3つの経済主体の経済活動と、海外との貿易で構成されています。
家計がお買い物などで消費した額、企業がモノやサービスを生産したり、設備投資につぎ込んだ額、政府が公共事業などで使った額、そして輸出から輸入を引いた分(これを純輸出といいます)から成り立っています。
国によって、家計の消費額が大きいのか、企業の設備投資額が大きいのか、政府の財政支出が大きいのか、それとも貿易額が大きいのかは異なります。
アメリカ経済の場合は家計支出が大きいです。
内閣府の資料で赤く塗られた部分が家計消費を示しています。
めっちゃでかい。
では、今回のGDP減速で、どの部分が減ったのか。
項目別に見ると、GDPのおよそ7割を占める個人消費はマイナス34.6%、企業の設備投資はマイナス27%、それに輸出はマイナス64.1%と、軒並み大幅な悪化となりました。
さきほどのニュースを見ると、
家計消費が約3割5分の減少、企業の設備投資が約3割減少、輸出が約6割5分の減少とかなり大きな損失です。
コロナウイルスに伴う外出制限や移動制限、また労働者が出社できませんから工場は稼働停止状態です。時期的には米中貿易摩擦も関係しているのでしょうか。
コロナウイルス感染症の影響が広範囲に及んだということですね。
ただ、GDPは全体的な増減を表わしているにすぎません。
米国経済全体としては生産が減少しているわけですが、今回のコロナ禍で需要を増やした業界もあります。たとえば、マスクやワクチン、ズームやチームスなどのビデオ会議ソフトなどです。
日本への影響
はっは~、アメリカ経済が停滞しても、日本には関係ないでしょ?
いや、わりと関係あります。
日本とアメリカ経済の結びつきは意外と強いです。
2019年の日本の対米輸出額は約8.5兆円。一方で、アメリカからの輸入額は約6.7兆円。
輸出品目は下記の通りです。
自動車などの消費財や半導体等製造装置などの設備投資用機器が並んでおり、これら主要品目は輸出が減少しました。
日本企業の輸出停滞は生産の停滞を意味します。それは失業率の上昇や賃金カットなどで家計へ影響を及ぼします。家計が支出を減らせば、さらに企業業績が低下し、政府が経済対策や社会保障など財政出動する必要が出てきますが、莫大な財政赤字を抱える日本では反論も根強いです。
また、日本経済とアメリカ経済の結びつきは貿易だけではありません。近年、日本企業がアメリカに積極的に進出していました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000240495.pdfより
トヨタなどの自動車メーカーなどが現地生産をすることでアメリカの雇用を一部支えていましたが、自動車販売台数の低下や工場の稼働停止などによって、日本のグローバル企業が経営戦略を転換していく必要に迫られるかもしれません。
新型コロナ:日本車4社の米新車販売、5月21%減 下げ幅縮小 (写真=ロイター) :日本経済新聞
元々日米貿易摩擦から日本法人の現地生産は始まったのですが、多くの企業が撤退することとなれば、日米間の関係は間違いなく悪化するでしょうし、それが在日米軍の基地負担や貿易交渉における圧力をもたらすかもしれません(コメや牛肉は元々輸入制限をしていましたがアメリカの圧力で輸入の自由化が始まりました)。
まとめ
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GDPとは、その国が一年間にどれくらい新しいモノやサービスを生産したかを表わす指標
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アメリカ経済と日本経済はは貿易面・日本法人の現地生産の面で結びつきが強いので、アメリカ人がモノを買ってくれなくなれば、日本企業の業績が悪化する
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GDPは全体的な需要を表わしているに過ぎない。コロナ禍で全体的な需要は減少しているモノの、在宅勤務や衛生管理などに関する商品は需要を増している
それでは!